男子81キロ級で16年リオデジャネイロ五輪銅メダルの永瀬貴規(26=旭化成)が決勝で、18年世界選手権銀メダルの藤原崇太郎(21=日体大)を下し3年ぶり4度目の優勝を飾った。17年の右膝手術から低迷していたが、国際大会4連勝で20年東京五輪代表に前進。男子73キロ級では、66キロ級で五輪2大会連続銅メダルの海老沼匡(29)が元世界王者の橋本壮市(28=ともにパーク24)に一本勝ちし、73キロ級で初優勝した。

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81キロ級の寡黙な仕事人が完全復活か!? 永瀬は東京五輪代表を争う藤原との決勝で、指導2つずつの延長2分過ぎ、足技で攻め続けて3つ目の指導を誘発して勝負を決めた。「組み手も殺されて内容は最悪だったけど、勝てたことは評価。投げて勝つ柔道をしないといけない」。国際大会4連勝を果たしたが、自身を一喝して笑顔はなかった。

17年10月に右膝手術を受けた。焦る気持ちを抑えながら1年後に実戦復帰したが結果を残せなかった。「1度は死んだ人間。はいあがるだけ」。そう自分に言い聞かせて、忘れていた技術面以外の試合勘などの準備も入念に見直した。昨年11月のGS大阪大会で3位に入ってから復調し、藤原を猛追。この日の直接対決を制したことで、男子代表の井上監督は代表争いに関して「永瀬がリードしている」と説明した。

リオ五輪の銅メダルは「負け」だった。その悔しさを晴らすためだけに、毎日柔道と向き合っている。2度目の五輪代表は最低条件だ。「過去の自分を越えて成長出来ている。日本武道館の表彰台のてっぺんに立つことしか考えていない」。26歳の柔道家は、4年前のリベンジを果たすために歩みを止めない。【峯岸佑樹】

◆永瀬貴規(ながせ・たかのり)1993年(平5)10月14日、長崎市生まれ。6歳から柔道を始める。長崎日大高-筑波大-旭化成。15年世界選手権優勝。16年リオデジャネイロ五輪銅メダル。右組み。得意技は大内刈り、内股。好きな食べ物はヨーグルト。家族は両親と兄と姉。181センチ。