SP首位発進の羽生結弦(24=ANA)が、フリーで195・71点を記録し、合計305・05点で優勝した。第2戦のスケートカナダに続くGP2連勝で、3年ぶり7度目のGPファイナル(12月、イタリア・トリノ)出場を確定させた。

オフシーズンには、シニア転向10年目となる節目の今季に向けて、練習方法を見直したことが奏功。年々進化を見せる羽生が、3年ぶりのGPファイナル優勝へ突き進む。

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シニア10年目の羽生の風格が、節々に現れた。冒頭の4回転ループを決めると、続く4回転サルコーも着氷。「最初のループと次のサルコーを決めるのが今大会の一番の課題だった。やっと1つ課題を超えられた」。フリー「Origin」で初めて、4回転ループと4回転サルコーの両方で出来栄え点を獲得。予定していた4回転トーループからの3連続ジャンプが不発となるも、残り2つのジャンプを変更し、的確に対応する能力も見せつけた。

オフシーズンの間に、練習方法を見直したことが奏功した。これまでは、練習最初のジャンプを失敗してもやり直して跳べればいい、という考えだった。しかし「1発目の集中の仕方が、ちょっとずつ曖昧な形になってきた」。気持ちをあらため「氷に乗って1、2分で絶対に決める、という意識を持って練習をしてきた」と、その日の最初のジャンプに全神経を研ぎ澄ませたことが実を結んだ。

積み上げてきた実績と経験が、フィギュア界に多大な影響を与えている。会見で3位サドフスキーから「ユヅルはスケートの神様」と言われ、2位エイモズには「羽生選手のようにいつかリンクの上に立っただけで、全ての人に力を与えられる存在になりたい」と憧れの目を向けられた。羽生は「こうやっていつもと違うメンバーがどんどん隣に立ってくれていることで、フィギュアスケートが変わってきている」と笑顔。日本代表としてともに戦った山本は「歩いているだけでも、羽生選手の独特の少し早いリズムがあると感じる。僕も周りも速くなっていく」と影響力を口にした。

札幌で得た力を、GPファイナルにぶつける。羽生にとって埼玉で行われた3月の世界選手権以来の、日本での公式戦で優勝。「日本の会場で滑るのが、どれだけ特別なことか、待ち望んでいた。みなさんから得たエネルギーをファイナルでぶつけたい。やっとファイナルで戦える位置にきた」と意気込んだ。3年ぶりの大舞台で、頂点を目指す。【佐々木隆史】