浜松開誠館の黒川菜津奈が、相手の反撃ムードを何度もへし折った。43-38と点差を詰められて迎えた第3クオーター(Q)終盤、きれいな弧を描く3ポイントがリングに吸い込まれた。2連続得点を許し、再び46-42と追い上げられた場面でも冷静に決めてみせた。

1回戦に続き、この日も松岡木乃美(このみ)主将(3年)が、ファウルトラブルで一時ベンチへ下がった。黒川は「自分が3(ポイント)を決めて、リードを守らなければと思った」と、発奮。5月の西部地区総体では10本連続成功の離れ業をやってのけた自身最大の武器で、柱を欠いたチームの窮地を救った。

三島正敬監督(44)も「第3Qで逆転を許さなかったことが大きかった。よく打ってくれた」と目尻を下げたが、この日の黒川はこれで終わらない。57-53で迎えた第4Q終盤には、スチールからレイアップも決める。さらに、バスケットカウントで1点を追加。「自分でもビックリ」と本人も目を丸くする貴重な3点プレーで、試合を決めた。

目標の4強までは残り2勝。3回戦では、今季公式戦で2戦2敗の前回大会王者・岐阜女と対戦する。黒川は「過去の2試合は、3ポイントを決められなかった。次は決めたい」と力を込めた。最高の舞台で三度目の正直を果たす。【前田和哉】