2度の4大大会優勝を誇る世界ランキング9位の大坂なおみ(22=日清食品)が大きな壁を突破した。前哨戦ウエスタン・アンド・サザン・オープン準々決勝で苦戦した同21位のアネット・コンタベイト(エストニア)に6-3、6-4のストレート勝ち。自分のサービスゲームを1度も落とさないばかりか、ジュースもない快勝で、2年ぶりのベスト8に進出。準々決勝では同93位のロジャース(米国)と対戦する。対戦成績は大坂から0勝3敗だ。

大坂の調子が急上昇だ。2回戦後、「今季のベストマッチ」と2回戦の出来を喜んだが、この日は、それを更新。「気持ちはすべて前向き。これこそ今年のベストマッチかも」と、深夜の2日がかりの試合にも最高の笑顔だ。

緊迫感のある非常にレベルの高い試合だった。大坂にとっては、この内容が、最も理想の形かもしれない。第1サーブの確率が71%、得点獲得率も84%と、ともに高率だ。課題だった第2サーブの得点獲得率も69%と高く、凡ミスは相手より4本少ない。決定打は、相手を5本上回り、最高の内容だった。

昨年の全米と比べるとよく分かる。昨年は、最初の4試合合計86ゲームを戦い、決定打、凡ミスともに107本。1ゲーム平均、1・244本だ。今年は、4試合で合計92ゲーム。決定打は90本で、凡ミスは105本。1試合平均、決定打は0・978本、凡ミスは1・141本だ。

つまり、完全に戦い方が変わってきている。豪打するリスクの高いショットを減らし、その分、決定打も減るが凡ミスも減るという安定したプレーが今年の特徴だ。それには「この長い間休んでいる間、本当にたくさんのことを考えた」と、冷静に自分を分析。そのプレーを導いているのは、落ち着いてプレーができていることにほかならない。

大坂が過去、4大大会本戦に出場したのは15回。その内、優勝した18年全米、19年全豪の2回を除いた13回すべて、4回戦かそれ以前に敗退している。つまり、4回戦が1つの壁で、それを勝ち上がれば優勝しかないのだ。

準々決勝では、2度のウィンブルドン優勝を誇るクビトバ(チェコ)を破った伏兵のロジャースが相手だ。クビトバが勝ち上がれば、大坂は19年全豪決勝の再現となった。しかし、ロジャースも侮れない。実は、大坂は、ロジャースに1度も勝ったことがない。それどころか、セットさえも奪っていない。

直近の対戦は17年4月のボルボカーオープン(米チャールストン)3回戦。すでに3年以上対戦がなく、すべての対戦は大坂が急激に力をつけた18年より前だ。比較にはならないが、勝ったことがない感覚は嫌なものだ。「コーチとよく話してチェックしたい」と、気を引き締めて挑みたい。

◆大坂対ロジャース対戦成績

13年米レキシントン(ツアー下部大会)2回戦 ●0-2 大坂

15年米オスプレー(ツアー下部大会)2回戦 ●0-2 大坂

17年ボルボカーオープン3回戦 ●0-2 大坂