明大が昨季大学王者の早大を34-14で下し、2季連続18度目の優勝を飾った。

ともに6勝1敗(勝ち点24)で並び、直接対決を制した明大が対抗戦王者となった。NO8箸本龍雅主将(4年)ら大型FWを軸に、攻守で伝統の「前へ」の精神を体現して圧倒。明治スタイルを貫いた。全国大学選手権は19日に秩父宮で初戦を迎える。対抗戦2位以下の早大、慶大、帝京大、筑波大も同選手権に進む。

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明大が、1つの壁を越えた。23人の精鋭たちが観衆1万465人を前に「明治スタイル」を体現した。NO8箸本主将はノーサイドのホイッスルが鳴ると青空を見上げた。「昨年もここ(秩父宮)で優勝して、最後の選手権決勝で負けた。ここからが勝負。さらに強くなって再び戦いたい」。涙も流すことなく、仲間らと勝利の喜びを分かち合った。

明大は、課題の前半から一気にギアを上げて、前へ前へ-。全員がタックルしてはすぐに起き上がる「起き上がり小法師(こぼし)作戦」を遂行。前半16分に箸本が敵陣ゴール前の密集から相手2人を突き飛ばして、インゴールに飛び込んだ。この先制トライを皮切りに、早大のミスや反則を誘い、さらに2トライを追加。後半も縦の速い連係攻撃を意識した明大ペースで主導権を握らせなかった。早大には計2トライを許したが、盤石な戦いで20点差をつけて快勝した。

準備の差が出た。明大は、11月の慶大戦で12-13で逆転負けした。伝統の早明戦を迎える前に「1敗」を喫した。この黒星を機に、もう1度初心に戻り最大の準備を心掛けた。Bチームが早大の“完全コピー役”を演じ、ラインアウトやスクラムなどを反復。慶大選手になりきって早慶戦の試合映像を見返して、イメージを膨らませた。試合前にはグラウンドで円陣を組み、箸本が14人にこう問いた。「これまでで一番の準備をしてきた。ミスが怖いか?」。誰も「怖い」と言わず、明治の誇りを胸に、己に自信を持って80分臨んだ。

チームスローガンは「One by One」だ。1つ1つの壁を乗り越えようとの意味が込められている。対抗戦優勝は通過点に過ぎない。田中澄憲監督は「早稲田さんに力を引き出してもらった。まだ成長できる」と言う。昨季の大学選手権決勝で敗れたリベンジを果たすまで、紫紺の戦士たちは前に進む。【峯岸佑樹】