全日本柔道連盟(全柔連)の金野潤強化委員長(53)は6日、代表取材に応じ、世界ランキング上位者で争うワールドマスターズ大会(11~13日、ドーハ)に選手派遣を決めた理由を説明した。

全柔連は政府が首都圏に緊急事態宣言を発令する方針を決めたことで、7日夜に出国する日本代表の派遣可否について協議していた。強化委員会と医科学委員会の医師を含めて、慎重に議論し、この日に最終決断を下した。金野氏は11カ月ぶりの国際大会の代表派遣に関して「東京オリンピック(五輪)に向けて重要な大会であり、派遣は必要であると判断した。今回は医科学委員会のドクターの先生方にも意見を求めて、最終的に『参加可能』との意見だったことが、非常に大きかった」と説明した。

原則として、カタール政府や国際柔道連盟(IJF)などの規定に基づいて行動する。新型コロナウイルスのPCR検査を出国前に2回、現地で1回、帰国時に1回受ける。さらに、全柔連独自で帰国1週間後に再度、PCR検査を実施する方針を示した。その結果が出るまでは渡航者全員が自主隔離し、選手は練習も行わないという。

現地では、外部との接触を遮断する「バブル」が適用される。試合会場とホテル以外は外出できないとし、練習場も決められた時間以外は使用できない見込み。食事や水なども現地購入できないため、選手は日本から食料を持参して参加するという。「コンディショニングや減量の維持という面では大変厳しいものがある」と指摘した上で、「それでも選手たちには十分説明したので、しっかりやっていくしかない」とした。

今大会には、男子100キロ超級の原沢久喜(百五銀行)や女子48キロ級の渡名喜風南(パーク24)ら東京五輪男女代表5人を含む、計9人が出場する。大半の選手にとって、約1年ぶりの貴重な実戦の場となり、東京五輪でのシード権確保のためにも重要な大会となる。しかし、金野氏はそれ以上に「何より無事に安全に出国して、そして試合をして帰国すること。これを成功させることが、何よりも大切で重要なことだと考えている」と、細心の注意を払って渡航することを強調した。