神戸製鋼が圧倒的な強さを見せた。前半8分、ラインアウトからのモールで先制トライを奪うと、計11トライを量産。デーブ・ディロンヘッドコーチ(HC)は「今日は最後の最後までいいプレーをしてくれた」。反省点はなかった。

日本代表入りを目指し、昨年に日本国籍を取得したNO・8ナエアタ・ルイ(27)が5トライを決めた。1人で打開したものはない。最初の2本はモールで押さえた。3本目はブロディ・レタリック(29)トム・フランクリン主将(31)の両ロックをフォローし、4、5本目はライン参加で最後にパスを受けた。「自分だけじゃなく、15人のハードワークで取った」。役割を果たした末の“ごっちゃんトライ”を、日本語で一生懸命に説明した。

第1節でNECに38失点。「ブレークダウン(の入り)が良くなかった。グラウンドから立ち上がるのも遅かった」とナエアタが言い、ディロンHCが「雑なプレー」という部分を修正した。ただ、それは2次的なものだ。

ベストな布陣ではない。新加入のニュージーランド代表50キャップ、SOアーロン・クルーデン(32)日本代表プロップ中島イシレリ(31)日本代表51キャップのSH日和佐篤(33)ら主力を負傷で欠き、先週はSH徳田健太(27)今週はプロップ高尾時流(24)が公式戦デビューした。それでいて、攻守が充実する。フランクリン主将は「すべては練習にある。私たちは自分を追い込み、厳しいチョイスを課している。偶然ではない」と胸を張った。

世界的プレーヤーと、たたき上げの新鋭が織りなす選手層。「みんなで“トップリーグで優勝できるチームを、2チーム作ろう”と言ってるよ」とフランクリン主将。神戸製鋼から死角が消えていく。【加藤裕一】