高梨沙羅(24=クラレ)が合計230点で3位に入り、通算108度目の表彰台に立ち、男女を通じて男子のヤンネ・アホネン(フィンランド)が持つ歴代最多記録に並んだ。今季トップ3入りは8度目。前日20日に首位に立ったW杯個人総合ではクリジュナル(スロベニア)に逆転されて2位に後退も、残り2戦で4季ぶり5度目の総合女王を目指す。

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高梨が表彰台で笑顔を見せた。15歳から積み上げてきた108度目の表彰台。ついにW杯通算36勝のアホネンが持つ歴代最多に並んだ。「偉大なアホネン選手と記録が並べたということで、同じ舞台ではないけど、こうして記録を残すことが練習へのモチベーションにつながる。今、聞いてとても驚いている。うれしいです」と喜びを口にした。

個人総合トップの証しである黄色のビブスを着用して臨んだ。1回目は向かい風に乗って空中で粘り強く距離を伸ばし、ヒルサイズまであと1・5メートルに迫る95・5メートル。2位の好位置につけ逆転も狙った2回目。1、2回目を通じもっとも強い追い風にたたきつけられ、K点手前の88・5メートルで着地した。「今、自分のできる限りのことはできた」と内容には納得。不利を受けながらも、3位で表彰台を死守した。

15歳だった12年1月8日、ドイツ・ヒンターツァルテンで2位に入り、初めてW杯の表彰台に立った。出場156戦目で、108度目のトップ3。そのうち優勝が男女通じて歴代最多の60勝であることが、高梨が積み重ねた数字のすごさだ。

22年北京五輪を1年後に控え、高梨より若い世代が台頭している。この日、2連勝で今季5勝目を挙げたクラマー(オーストリア)は19歳、個人総合で首位を争うクリジュナルは20歳だ。「誰が勝ってもおかしくない。技術面の差は僅差」と高梨。年々高まっている女子ジャンプのレベル、競争の激化に刺激を受けている。

五輪プレシーズンの今季は残りは2戦。「1つ1つの試合に課題があるので、それをこなせたかに焦点を当てたい」。5点差で2位につける個人総合。4季ぶりに女王に返り咲いて、五輪の舞台に臨みたい。

 

◆ヤンネ・アホネン 1977年5月11日生まれ。フィンランド出身。1992年に15歳でW杯デビュー。93年に16歳7カ月という史上3番目の若さでW杯初優勝。W杯で2度の総合優勝を果たし、通算36勝(歴代4位)。表彰台108回の内訳は、優勝36回、2位44回、3位28回。5度の五輪では06年トリノ大会の団体銀メダルが最高位。