2大会連続五輪を目指す坂本花織(21=シスメックス)が悩める胸中を明かした。フリーはジャンプ7つに全て加点がつき、143・50点を記録。ショートプログラム(SP)との合計217・24点で優勝したが「どれが一番正しい答えかは、はっきり出ていない」と正直な思いを口にした。

その原因は曲。この日は全日本選手権で頂点に立った18-19年シーズンのフリー「ピアノ・レッスン」を使用した。7月のアイスショーでは新フリー「No More Fight Left In Me/Tris」を滑った。だが「なかなか練習しきれなくて、調子が崩れていった。人前で見せられる状況じゃない」とし、前日のSP後に「ピアノ・レッスン」を滑ることを決めたという。

昨季までの2シーズンは代表作の1つともいえる「マトリックス」を使用。振付師のブノワ・リショー氏からは「カオリのために選んだ。やり通してほしい」と新フリーを推されているが「(リショー氏が手がけた過去のフリー3作品以上に)難しいプログラムが(12月の)全日本(選手権)までにできる気がしない自分の気持ちがある。元(ピアノ・レッスン)に戻す選択肢は正しくないと分かっているけれど、どれが一番正しい答えかは、はっきり出ていない」と明かした。

今大会のSPでは曲が途中で2度止まるハプニングを経験。フリーも手放しで喜ぶことができない状況だ。それでも曲以外の地力を示したからこそ、2位に20点以上の差をつけられた。

「自分はスロースターター。出遅れることが多かったけれど、今年はショート(SP)もフリーも、初めて1位で終われた。出だしとしては良かったです」

22年北京五輪の代表3人が決まるのは12月。さいたまスーパーアリーナで行われる全日本選手権後だ。納得いく決断を下し、勝負のシーズンを歩んでいく。【松本航】

◆北京五輪への道 男女シングル代表は3人ずつ。1人目は全日本選手権(12月、さいたま)優勝者。2人目は同選手権2~3位、グランプリ(GP)ファイナル上位2人、同選手権終了時点での国際スケート連盟(ISU)シーズンベストスコア上位3人から総合的に判断。3人目は2人目の基準に該当した上で漏れた選手、同選手権終了時点でのISU世界ランキング、シーズン世界ランキング各上位3人、日本スケート連盟強化部が派遣した国際競技会、同部が指定した国内競技会におけるシーズン最高技術点の上位2人から総合的に判断して選出される。