フィギュアスケート男子で冬季五輪2連覇の羽生結弦(26=ANA)が22日、日本テレビ系「24時間テレビ 44」に出演した。

東日本大震災から10年。あの日、練習中に被災したアイスリンク仙台から「1歩ずつ前に向けて歩いていけるような気持ちになっていただけたら」との願いを込め、特別アイスショーを届けた。

震災後、初めて観客の前で滑った「ホワイト・レジェンド(白鳥の湖)」から披露。前進と後退を繰り返してきたという自身の10年を表現し、新たに演目に加えた4回転トーループを着氷。「力強く生きていこう」との思いを詰め込んだ。

続いて「花になれ」で締めた。震災後、代替拠点として一時練習していた横浜銀行アイスアリーナで17年に演じたナンバー。「コロナ禍で笑顔が少なくなっている世の中へ。ちょっとでも笑ってほしい。そう語りかける気持ちで演技したい」と選曲の理由を説明し、その思いが代弁された歌詞を口ずさみながらトリプルアクセル(3回転半)を完璧に成功。最後は笑顔で「ありがとうございました」と画面越しにお辞儀した。

昨年はショーどころか練習すら難しかったが「ひたすら勉強してました」と早大の卒業論文完成を報告。震災10年の今年は氷上に帰ってきた。コロナ対策のため無観客で、照明演出など過剰な表現は避け、最小限の制作陣容で。一方で黄色や紫ベースの特注衣装を用意し「被災地も含めてコロナの状況が大変な中、僕の演技を見て、少しでも前を向くきっかけになれば」と信じて舞った。【木下淳】