新体操団体日本代表「フェアリージャパンPOLA」が、新進気鋭のダンサーの教えを胸に母国大会に臨む。12日、世界選手権(10月27日、福岡県北九州市)を控えてオンライン取材に応じ、山崎浩子強化本部長が、10月初旬にダンサー、俳優として注目度急上昇中の大貫勇輔に指導を仰いだことを明かした。

メダルを目指した東京五輪では、ミスが相次いで8位。入賞はしたが、目標を達成することはできなかった。落ち込む選手の姿に加え、表現面での反省もあった。「やっぱり心の部分を柔らかくしたいなと。いやしたいなと。それと来年からのルール変更で、より表現力が豊かでないと戦えなくなる。違うジャンルの方のエキスをもらいたいなと思いました」。

技術レベルが上がり、次から次に高難度の技を繰り出さないとならない現在の競技特性で、反省点として上がったのが表現面だった。テレビで大貫の踊りを見て衝撃を受けた山崎本部長がつてを頼りにお願いし、10月初旬に実現した。

実際に演技を見てもらい、ヒントになるようなメソッドを伝授してもらい、即興でも踊りも披露してもらった。「競技者であり、表現者でもあると思います」と言う言葉を選手たちは胸に刻んだという。

五輪後に2人のメンバーが引退し、新メンバーで挑む大会になる。練習期間は短く、「結果を求めるのはきついかな」が本音だが、有観客のスタンドに見せたいものははっきりしている。「誰かの心が動かせたら良いなと思っている。ただ『落下しませんでしたね』ではなく、すごく楽しそうに演技していたとか、エネルギッシュだったとか、力を放出しないといけないので、その意味でも表現が大切になる」と期す。

杉本早裕吏主将も「東京の時に1人1人が良いものを持っているのに発揮できなかったことに気付き、表現することを練習してきたのにそれをだせなかった。そこを磨きかけている。1人1人の良さを前面に」と呼応する。何を表せるか。1つのテーマを、新生フェアリーが挑む。