女子で平昌五輪銅メダルの高梨沙羅(25=クラレ)が合計236・1点で史上初の5連覇を達成した。2回ともに女子で唯一K点(90メートル)越えの90・5メートルをそろえ、1回目3位からの逆転優勝を果たした。3度目の出場で悲願の金メダルを目指す22年北京五輪へ、まずは国内戦で好スタートを切った。

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試合後、女子選手と一緒に写真撮影した高梨は、親指と人さし指で小さなハートマークをつくる流行のポーズで笑っていた。五輪シーズンが開幕し、表彰台の中央に立った。5連覇も7度目Vも男女通じて史上初。「自分のやるべきことはできた」と納得した表情だった。

1回目、直前にスタート位置が2段(1メートル)下の6番ゲートに設定された。ジャンプに有利な向かい風が吹き、加速の距離を短縮してもいいとの審判判断。この日、体重の重い男子は主に6番から1段(0・5メートル)下の5番ゲートを使用。ほぼ男子並みの条件でも、90・5メートルを飛んで3位につけた。女子全員同じゲートから飛んだ2回目も不利な追い風の条件ながら、唯一の90メートル台をマークして、力の差を見せつけた。オリジナルデザインの新ヘルメットにあしらわれている鶴のように、大きく羽ばたいた。

平昌五輪後に改良した飛躍は完成に近づきつつある。昨季まで助走、飛び出しを意識していたが、今季は空中姿勢に着手。「うまくできていると思う。いい成績を出すためにもテークオフ(飛び出し)や完成度を高めていきたい」。開幕戦の優勝で大きな手応えをつかんだ。

前回平昌五輪金メダルのルンビ(ノルウェー)が、体重管理の難しさを理由に北京五輪に出場しない意向を表明している。世界ではルンビ以外も若手が台頭しており女王争いは激しい。本人は「寂しい気持ち」と残念がるが、最大のライバルの1人の不在は金メダルへ追い風になることは間違いない。W杯通算勝利は前人未踏の60勝も14年ソチは4位、18年平昌は銅と、頂点には立っていない。三度目の正直の金メダル獲得へ、戦いが始まった。【保坂果那】

◆北京五輪の女子金メダル争い 昨季W杯個人総合2位の高梨も候補だが、欧州の若手がライバルになる見込みだ。昨季W杯個人総合覇者の21歳のクリジュナル(スロベニア)や同3位だったクラマー(オーストリア)が台頭。今年2月の世界選手権ではクリネツ(スロベニア)が女子ノーマルヒルを制している。