競泳と高校野球の二刀流に挑む高校生選手が、プールで実力の片りんを示した。東京オリンピック(五輪)代表の池江璃花子(21=ルネサンス)が専門外の50メートル背泳ぎで優勝したこの日、同じプールで、高校1年の光永翔音(しょうおん、16=日大豊山)が16~17歳の男子100メートルバタフライ決勝で55秒49をマークして優勝を飾った。

身長190センチと恵まれた体格の持ち主で、今回の競泳の大会前には高校野球の1年生大会に出場。「肉離れとかもあって泳げていなかった」と練習不足だった中で、前日からの2日間で計4種目にエントリーしていたが、そのうち1種目は棄権。前日には予選落ちするなど、思うような成績を残せていなかった。この日、100メートルバタフライで予選全体1位となった直後も、「3種目とも良くなかった」と浮かない表情。それでも、万全ではない状態にもかかわらず、決勝でもトップで泳ぎ切った。

野球では、小学生時代に千葉ロッテマリーンズ・ジュニアに外野手として選抜され、ボーイズリーグで全国大会にも出場。競泳では、今年2月に50メートルバタフライで中学生日本記録(24秒41)をマークし、4月の日本選手権にも出場した。2つの競技を並行して行う利点について、「水泳だけだと飽き性というか、1つのことが続かない。水泳をやって、うまくいかないときは野球をやったりと、バランスを取れるのが良い」と説明する。

それぞれの競技の練習時間については大会時期を考慮しつつ、顧問教師とも相談して決めている。夏場は7~8割が水泳だったが、1年生大会があったことで、ここ最近は「野球の方が多め」だったという。

前日には米大リーグで、投打の二刀流で活躍した大谷翔平がア・リーグMVPに選出された。そのことについて話題が及ぶと、「大谷選手は人間として素晴らしいと思うし、みんなに愛されているから、自分のやりたいことを認めてもらえていると思う。僕も認めてもらえるような行動を取っていきたい」。前を向き、力強く話した。

限りない可能性を秘めた16歳の二刀流選手が、甲子園を、そして五輪を目指す。【奥岡幹浩】