第101回全国高校ラグビー大会が27日、大阪・花園ラグビー場で開幕する。来年1月7日にはトップリーグに代わる新たな「リーグワン」がスタート、進化を続ける日本ラグビー界にあって、高校生ラガーはどんな熱戦を繰り広げるのか。日刊スポーツは「リーグワン元年の花園」と題して、今大会の有力校、注目選手たちを開幕直前連載を計5回お届けする。第1回は前回大会準優勝で初優勝を狙うBシード・京都成章の高校日本代表候補SO大島泰真主将(3年)にスポットを当てる。

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08、09、14年度のベスト4を経て、20年度は初めて決勝の舞台に立った。残るは頂点-。14度目の花園に臨む京都成章を引っ張る立場にいるのだが…。大島主将から精神的高ぶりはあまり伝わって来ない。

「一昨年、昨年はFWがでかかったけど、今年はサイズでいうと全くないです。当然、戦い方は違ってきますよね」。誇張せず、現実を語る。「1年通して取り組んだのは“速さ”と“もっと頭を使うこと”です」。まるで監督のように説明した。

2年前はFBでベスト8までの3試合、1年前はSOで決勝までの6試合。花園で全試合に先発した。エリアを見渡し、獲得する視野、判断力、キックは天性の資質を磨き、手に入れた。小学2年の時、父に連れられ、伯父主宰のラグビースクールへ。「あの子を抜いてみろ」。初めてボールを持たされ、小学5年の相手を1対1で抜き去り、トライを決めた。

「それからずっと楽しくて」。BS、CS放送で海外リーグを見まくり、頭の中で「自分なら…」と考えてきた。「リーグワンですか? う~ん見ないでしょうね」。イメージはすでに国内最高峰の舞台を超え、現在最も興味があるのはマーカス・スミス(22)だという。強豪ハーレクインズ所属で、イングランド代表の次期司令塔候補とされるSOを「ライバル視してますんで。年が近いし、スタイルも似ている感じがします」と豪語する。

主将になった。ただ、前チームの共同主将SH宮尾、CTB辻野のようになれないと自覚。「2人とも人間的にすごいリーダー。僕は絶対ああはなれない。でも、戦術、スキルなら勝てる。それを全面に出す」と副主将のフッカー長島幸汰(3年)らに頭を下げ「サポートしてな」と自分に足りない部分は任せた。

現チームはここまで、東福岡、桐蔭学園、東海大大阪仰星というAシード3校と対戦し、全敗している。「でも、全部“いけるな”と思ってます」。根っからの司令塔は、3度目の花園を心待ちにしている。【加藤裕一】

◆大島泰真(おおしま・たいしん)2003年(平15)7月14日、京都市生まれ。小2から「Kiwi,sラグビークラブ」でラグビーを始め、SO、FBとして藤森中時代に京都選抜で全国大会準優勝。好きな女性のタイプは女優の満島ひかり。50メートル6秒4。168センチ、74キロ。