秋田の新鋭・秋田北が、12月23日開幕の全国高校バスケットボール選手権(ウインターカップ)に出場する。

【スコア速報】ウインターカップ2021 女子スコア>

県予選準決勝では県12連覇中の湯沢翔北を81-76で撃破。上昇気流に乗り、決勝で大曲を73-68で下し、悲願の初優勝を果たした。同校は今年で創立120周年。節目の年につかんだ初の全国舞台で秋田北旋風を巻き起こす。初戦は23日、同じく初出場の京都両洋と対戦する。

粘り強い守備から攻撃へと展開する走るバスケットで全国初勝利をつかみ取る。チームの軸を担うのは夏から残る3年生、鈴木栞奈と安田みのりだ。

攻撃の軸・鈴木は高い得点力と強気の攻めでチームを引っ張る。鈴木は「シュートの場所を選ばないところが強み」と語り、県予選決勝では4本の3点シュートを含む21得点と持ち味の得点力を発揮した。一方、安田は守備の要としてチームの安定を担う。安田は「点をたくさん取る役割は栞奈がやってくれる」と鈴木を信頼。だからこそ相手に強いプレッシャーをかけ、チームに励ましの声をかけるなど、直接得点につながらない部分で活躍する。鈴木は「自分たちはチャレンジャーなので、相手に立ち向かう、粘り強く戦い抜く姿勢を大切に戦っていきたい」。安田は「目の前のできることを意識して勝利を目指したい」と意気込み、攻守の軸がチームを支える。

今夏の県総体準決勝では湯沢翔北に64-91と敗戦。そこからディフェンス、リバウンド、ルーズボールへの意識向上を追求した。今年就任した吉田美緒監督(27)は「夏前はこれらがすごく弱かった。そこを強調して練習してきたことで相当変わったと思います」と振り返った。自身は2年前まで山形銀行でプレーしており、その経験が指導に生きた。吉田監督は「とても光栄なこと。学校創立120周年ということもあり、新たな歴史の1ページになるのかなと楽しみな気持ちです」と指導者として臨む初の全国を心待ちにする。

団結力はどのチームにも負けない。部員数はウインターカップ出場の中で最も少ない11人。試合形式の練習では交代ができない。しかし、それは弱みではなく、個々の長所をより深く理解する強みとなる。鈴木から主将を受け継いだ伊藤里桜(2年)は、「全国に行くために1つになってやり切ることができました」と強い団結力を実感。チームの中心、伊藤、鈴木、安田は口をそろえて個人の目標に「チームが苦しいときに私がやる」ことを掲げた。チームを思いやる気持ちが団結力の源となっている。

最少人数に加え、チームの平均身長は162・6センチ。こちらも出場校の中で最小。だが、身長の不利は鍛え抜かれた守備でカバーする。最も少なく最も小さい「少数精鋭」が、全国の舞台にバスケット王国・秋田の火をともす。【濱本神威】

◆テレビ放送 男子決勝は12月29日午後1時からテレビ朝日系地上波で、女子決勝は12月28日正午からBS朝日でともに生放送。