フィギュアスケート男子の22年北京五輪代表に決まり、世界初のクワッドアクセル(4回転半)成功と94年ぶりの3連覇を目指すことを初めて明言した羽生結弦(27=ANA)が27日、全日本選手権優勝から一夜明けて激白した。

【写真特集】羽生結弦 五輪3連覇に向け全力で/エキシビション>

V3挑戦を決意した理由や北京五輪の想定ジャンプ構成、同い年のエンゼルス大谷翔平投手(27)から受けた勇気など1年の最後に語り尽くした。【取材・構成=木下淳】

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-前夜に初めて明言した「五輪3連覇を目指す」ことを決意したのはいつか

この(日本選手団)ジャージーをいただいて記者会見に行く時ですかね。袖を通した時に『ああ、五輪だな』と。自分は2連覇というものを既に持っていて、失うことは確かに怖いんですよ。負ける確率の方が間違いなく平昌五輪の時より高いと思うし。ただ、これを着た時に勝ちにいくんだな、勝ちにいかなきゃいけないんだなって。五輪ってやっぱり発表会じゃないんですよ、やっぱ勝たなきゃいけない場所なんですよ。2連覇は絶対に失いたくないし、だからこそ、また強く決意を持って、絶対に勝ちたいなって思いました。

-同い年、同じ東北出身、日本を代表するアスリート同士として大谷翔平の今季活躍をどう見ていたか

フィギュアスケートの全盛期って23、24歳ぐらいと思われていたけど(自身は27歳で最強のままで)野球も今は30代前半とかで脂が乗る。自分の同年代の選手が史上一番いい状態を保っているところを見て。(右肘)手術後で大変だったり前人未到のことを切り開いている姿を見ると、勇気づけられます。僕もまだ見ぬ世界に、4回転半に1人で挑み続けているので、本当に勇気をもらっています。

-描いていた4回転半の成功へ、遅れていると

正直、平昌の次のシーズンで降りられると思っていました。それぐらいアクセルに自信があった。こんなに大変とは。集中すればするほど、けがが常につきまとい、4回転以降を回ることがどれだけ大変かを痛感した4年間。今後はどれだけ緻密に計算できるか、戦略を立てて計算をして成功をつかみ取れるかが大事。

-今のままでは勝てないと話していた北京五輪。どうすれば勝てるのか

4回転半にしっかりGOE(出来栄え点)プラスで付けられる構成にしたい。はっきり言って4回転半にルッツ、ループ(を加えるの)は現実的じゃない。ここから1カ月ちょっとしかない中、やれることはアクセルぐらい(=4回転3種4本)。24、25歳の時に成長が止まったなって思った時期があったけど、僕たぶん今、一番うまいです。羽生結弦にとってのフィギュアスケートのトレーニングがどういうものか確立して実行できるようになった。

-羽生結弦にとって「言葉の力」と影響とは

絶対に有言実行したいと思ってきた。ある意味、自分の言葉が鎖だったりプレッシャーだったりする。それがあるから、僕は絶対にそれを達成したいって思い続けられるわけで。諦めないでやれるのは、そういう言葉たちのおかげなのかなって思います。話せば自分の気持ちやプランを整理できる。どういう感覚でジャンプしたのか声に出すことによって整理され、いい結果が出てくることが多い。

-昨季は体重を増やした。今年は減らしたのか

減らすつもりはなく増やすつもりもなかった。中途半端ですけど。正直もうちょっと減らせたかな、軽くていいんじゃないかなと思って全日本に入りました。ただ、去年の全日本からは1キロくらい減ってます。今春の世界選手権や国別(対抗戦)と比べれば3キロ以上は減った。どっちがいいか分からないんですけどね。

-コロナ禍で拠点のカナダに戻れず、長く地元の仙台で調整した。故郷で過ごした感想や心の支えは

試合で遠征に行くことは多々あるけど、やっぱり仙台の街並みって自分の中に常に残っている街並みで。もちろん都市開発はあっても、懐かしさがあるだけで心がホッとするというか。すごく温かい気持ちになれています。今後も仙台で頑張っていくと思います。たぶん…たぶん?(笑い)。