3大会ぶりの優勝を目指す明大(関東対抗戦3位)が雪辱の舞台へ駒を進めた。

東海大(関東リーグ戦1位)を39-24で下し、早大に敗れた19年度以来の決勝進出。同点の後半26分、SO伊藤耕太郎(2年)が決勝トライを挙げた。9日の決勝(国立)では今季の対抗戦で敗れた帝京大(関東対抗戦1位)と対戦する。

帝京大は37-30で京産大(関西1位)を退け、9連覇した17年度以来、4大会ぶりの頂点に王手をかけた。

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紫紺のジャージーで背番号「10」をつけた伊藤は、迷わなかった。24-24の後半26分。明大の仲間からは「明治タイム」の声がかかった。練習を信じて走り勝つ-。その一心で前へ進んだ。敵陣22メートルライン付近で持ったボール。内側に走る味方はマークされていた。「前が空いていなかったので、自分で強いキャリーをしようと思った」。1人をはじき飛ばし、2人目も力ずくで振り切った。インゴールへ飛び込んで笑った。

「(はじき飛ばしたのは)初めてでびっくりした。BKでトライを取れて、いい試合だったと思います」

勢いはあった。準々決勝の早大戦勝利の流れに乗り、前半は0-3から3連続トライ。21-3と主導権を握って後半に入ったが、急に防御が乱れた。後半は開始15分で3トライ3ゴールを許し、気づけば21-24。強力FWを押し出す東海大にのみ込まれた。その時、SH飯沼主将の声が聞こえた。

「準決勝、こうじゃないと面白くないだろう!」

焦りは消えた。伊藤の弟は自身も卒業した国学院栃木で、2年生ながら正SOを担う龍之介。元日の全国高校大会3回戦で10大会ぶり8強の原動力になった。「弟より先に(地元に)帰りたくなかった。そこは良かったです」。国立に駆けつけてくれた両親は、3日に龍之介が臨む花園での準々決勝に向かう予定。同じ楕円(だえん)球を追う存在も見えない力になった。

2大会ぶりの決勝へと進み、日本一を争う相手は帝京大に決まった。今季の対抗戦では7-14で惜敗。飯沼はリベンジの自信を「もちろんです」と言い切り、チームを代表して誓った。

「決勝は細かいところで差がつく。凡事徹底。(こぼれた)ボールのセービング、前進された時に全員で追い掛ける…。明治は『勝利への執念』を強みでやってきた。それをやりたい」

1週間後。国立でもう1度、暴れ回る。【松本航】