雑草軍団が、3連覇の夢を阻んだ。

27度目の花園で初の準決勝に進んだ国学院栃木が勢いそのままに、2連覇中の桐蔭学園を21-5で下して決勝へと駒を進めた。前半から攻勢を仕掛け18-5と優位に進めると、反撃に遭った後半には持ち味の堅守で耐え抜き1トライに抑えた。栃木県勢として初の頂点へ、8日の決勝で東海大大阪仰星(大阪第2)と対戦する。

紫の壁は、最後まで王者に食らいついた。国学院栃木が15人全員のハードワークで、2連覇中の桐蔭学園を退けた。「打倒桐蔭」を掲げて練習に打ち込んできたというSO伊藤龍之介(2年)は「最高の舞台で目標がかなった」。吉岡監督は「1対1で抜かれても、みんなが必死にディフェンスしていた。ナイスゲーム」と選手の頑張りをたたえた。

前半から桐蔭学園のお株を奪う攻撃を見せた。2本のPGを決めて6-0とした前半18分、右サイドの隙を突き敵陣深くまで前進すると、対角サイドにできた大きなスペースにSO伊藤龍之介(2年)が迷わずキックパス。そこに待っていたWTB伊藤大暉(3年)がキャッチし、インゴールを駆け抜けた。その後も1トライを挙げ、前半を18-5で折り返した。

後半は一転して自陣深くまで攻め込まれるシーンが多々見られたが、堅守から追加点を最小限にとどめた。しつこい守備から反則を誘い、要所では相手のボールを奪うジャッカルが決まった。王者の反撃を1トライに抑えた。

超高校級の選手はいない。本年度は高校日本代表候補すら誰も選出されなかった。準決勝に進んだ他3校はいずれも日本代表候補(東海大仰星6人、東福岡10人、桐蔭学園8人)を多くそろえる。そういった強豪と渡り合うために「今季はディフェンスに多くの時間を費やした」(吉岡監督)。ロースコアな試合展開に持ち込むため、粘り強く、泥臭く、愚直に60分間ハードワークを続けることを求めた。

この日の準決勝でも、思い描いた通りのゲームプランを遂行した。吉岡監督は言う。「今年の3年生の中に突出した選手はいないのはたしかだが、きょうの試合を見ていると決して負けていない生徒が出てきている」。花園では91回大会準々決勝以来となる東海大大阪仰星との対戦が8日に控える中、成長を続ける「コクトチ」フィフティーンの姿に胸を張った。【平山連】