ラグビーのトップリーグに変わる新リーグ「リーグワン」が開幕し、シャイニングアークス東京ベイ浦安(旧NTTコミュニケーションズ)が、敵地でコベルコ神戸スティーラーズ(旧神戸製鋼)を1点差で下した。マン・オブ・ザ・マッチには2トライを挙げた浦安FBイズラエル・フォラウ(32)が選ばれた。

最後に絶体絶命のピンチが待っていた。後半36分のフォラウの逆転トライでシーソーゲームをものにしたと思われたが、後半ロスタイムにトライを奪われ、リードは1点に。ゴールが決まれば逆転負けという大ピンチだったが、祈りが通じたかのように、神戸の名手、SOアーロン・クルーデン(32)のキックが外れ、ノーサイドを迎えた。

「この上ない喜び。私の記憶の限りでは神戸に勝つのは初めてだと思う。リーグのトップチームに勝てたのは喜ばしい」。14年から18年まで指揮を執っていたロブ・ペニー監督(57)にとっては復帰戦。会見場では感情があふれ出た。

注目の新リーグ開幕戦。重圧はあったのかという問いに、主将の日本代表CTBシェーン・ゲイツ(29)の答えは意外すぎるものだった。「本当に正直に言うと、この試合が開幕戦だったということを知らなかったんだ」。照れ笑いを浮かべながらも「勝てて、素晴らしかった。お客さんも接戦を楽しめたのではないか。すごく楽しかった」と、記念星に笑みが絶えなかった。

リーグワンは地域密着が1つの大きな柱。ペニー監督は特別な思いを口にした。「私にとってアークスは特別。地域に根ざした取り組みもあり、浦安を代表して戦うことができるのは光栄です。コロナ禍で厳しい状況が続くが、それを忘れさせるような1日でした。テレビで見ているサポーターも多かったと思うし、世界中のファンに注目されるようなリーグになると思います」。記録にも記憶にも残る白星に胸を張った。【柏原誠】

◆リーグワン トップリーグ(TL)を刷新したラグビー国内最高峰の新リーグ。地域密着を狙い、各チームが活動拠点の「ホストエリア」を設定。3部制で全24チーム。1部は5月8日までリーグ戦16節を戦う。TL時代の16から減った12チームがA、Bの2組に分かれ、同組内で2回戦総当たり、別の組とは1試合ずつ交流戦として対戦。付与される勝ち点は勝ち4点、引き分け2点、負け0点。7点差以内の負けは1点、3トライ差以上の勝ちは追加で1点が付与される。5月に、勝ち点の上位4チームによるプレーオフトーナメントで初代王者を決定する。