開志国際が男女アベック優勝を決めた。男子はV3(昨年は団体戦を実施せず)。女子は初優勝だった。新潟第一に4-0で快勝した男子は2-0で迎えた中堅戦で早くも優勝を確定。左手親指骨折が完治していない高梨耀(2年)が開始13秒に払い腰を決め、最初の3人で勝負を決めた。男女優勝校は3月の全国大会(東京・日本武道館)出場を決めた。

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組んだ瞬間に高梨は払い腰を仕掛けた。「始め」の合図からわずか13秒。「最初に組んだ時に自分の組み手になった」と相手の奥えりをつかみ、長い足を生かした電光石火の技を決めた。奥えりを握った左手親指はテーピングで固定している。故障した親指を除く4本の指で奥えりをガッチリつかみ、払い腰に持ち込んだ。V3は故障を抱えながらオーダー変更で準決勝から登場した高梨が確定させた。

「(故障中で)怖かったけれど、結果がついてきて良かった」。昨年11月のBSN高校柔道個人81キロ級準決勝で左手親指を骨折。8日から練習に合流したばかりだが「復帰明けから調子は良かった」と言う。その好調さを見ていた大倉太監督(53)は選手たちの意見を参考に急きょ、準決勝から抜てき。高梨は決勝の中堅戦で期待に応えた。

2-0で迎えた中堅戦だった。勝てばV3が決まる一戦。高梨は緊張のあまり、マスクをつけたまま畳に上がった。注意を受けて取り外したが、その出来事が全身から力が抜けるのに役だった。「ヤベェと思ったけれど、あれで緊張がほぐれた」とあっという間の勝利につなげた。

昨年11月以降、東海大山形や仙台育英(宮城)などの強豪校が開志国際を訪れ、練習を積んだ。12月27日から1月3日までは学校内で年越し合宿。故障の高梨は不参加だったが、下半身中心の筋力トレーニングに励み、復帰直後ながら貴重な戦力になった。「精いっぱい力を出したい」と全国大会でも戦力の一角を担う決意だった。【涌井幹雄】