人気サッカー漫画「キャプテン翼」のような? トライが試合の流れを変えた。

東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)は2点リードの後半21分、ゴール前右のラックから左へ展開。タックルされながらのオフロードパスを受けようとしたのは、フランカーのマット・トッド(33)だった。19年W杯日本大会をニュージーランド代表「オールブラックス」の一員として戦ったスターだが、ボールを取り損ない、うつぶせで倒れそうな体勢になった。

だが、そこでとっさに動いたのが右足。空中で右のヒールを使ってボールを浮かし、自らは芝に倒れた。

トッドが操ったボールは、ふわりと前へ浮いていた。その争奪戦を19年W杯日本代表NO8徳永祥尭(29)が制し、勢いのままインゴール左隅に飛び込んだ。

あまりに一瞬の出来事となり、レフェリーもすぐには判定を下せなかった。

橋元教明主審「今、キックしたボールが前に…」

副審「(トッドがボールを)ロストしているので、そのロストした後に足に当たって…。ただ、そのロストしたのが、ボールが前に動いているのかを、見た方がいいと思います」

橋元主審が選んだのは「TMO」によるビデオ判定。映像を確認してボールを前に落とすノックオンの可能性が消えた。橋元主審は「グラウンドレベルでは明らかなノックオンは見受けられず、トライを与えたいと思います」と告げ、左手を挙げて長い笛を吹いた。

BL東京のリードは7点に広がり、SH小川主将のゴールも決まって9点差。主導権を握る貴重な得点となった。

この日もトッドは献身的な働きで、チームの勝利に貢献した。リーグ100試合出場を飾ったBL東京フランカーのリーチ・マイケル(33)が「トッド選手はフィットネス(体力を上げる練習)をプラスアルファでやっている。少しまねをしています」と明かすなど、チーム内でも大きな信頼を寄せられている。【松本航】