ラグビーのW杯フランス大会（23年9月8日～10月28日）開幕まで、26日で500日となった。19年日本大会で過去最高8強入りを果たした日本代表（世界ランク10位）の主力として期待されるのが、2大会連続出場中のFB松島幸太朗（29）だ。今季は代表唯一の海外組としてフランス1部クレルモンで2季目を過ごし、チームの柱として貢献。このほど松島が現地で日刊スポーツのインタビューに応じ、手応えや同国開催となるW杯への思いを語った。【取材・構成＝松本航】

【松島幸太朗インタビュー】W杯まで500日「僕らが勝てるか、は大きい」フランスで準備に最善＞＞

「マツ」は欠かせない存在になっていた。空港や駅でもチームグッズが販売されるラグビーの街。ホテルの受付係も松島を知っていた。練習場では隙あらば大柄な仲間が「ヘ～イ、マツ！」とちょっかいをかけてくる。クラブのスタッフには「マツが来年以降、どんなキャリアを歩むか知っている？」と尋ねられた。2年契約最終年となり、去就も関心事になっている。

イメージ通り、シャイな29歳。そんな松島が照れくさそうに笑ったのは、昨年生まれた子供の話題だった。「自分のタイミングで寝られない…」。今季から家族3人でのフランス暮らし。育児も積極的にこなす。おむつ替えも手慣れたものだが「寝かしつけはミルクを飲んでくれる時はいいけれど、それでも『嫌』っていうときは、どうすることもできない。お母さんじゃないと…」。ラグビーに関して前向きな言葉が並んだ取材だったが、この時ばかりはばつが悪そうだった。

オフにはパリへと車を4時間半走らせ、家族と気分転換を楽しむ。「ラグビーのことはグラウンドを出る前に解決させる。子供ができて家で考えなくなった。『シーズンも長いし、それでいいかな』って…」。大切な存在が、異国での挑戦を支えている。

 

◆松島幸太朗（まつしま・こうたろう）1993年（平5）2月26日、南アフリカ生まれ。桐蔭学園高、シャークス（南ア）の下部組織を経て、サントリー（現東京SG）入り。オーストラリアのクラブにも在籍し、20年にクレルモンへ移籍。W杯は15年の南ア戦勝利に貢献し、19年大会は全5試合に先発。代表44キャップ。父がジンバブエ人。178センチ、88キロ。