仙台89ERSが香川ファイブアローズに74-60と快勝し、準決勝第1戦を制した。第1クオーター(Q)開始55秒、田中成也(30)の3点シュート(3P)を皮切りに、準々決勝福島戦では3戦でわずか8本しか決まらなかった3Pを、この日は10本沈め、波に乗った。持ち味の堅守も40分間途切れることはなく「89ERSのバスケット」を貫き、悲願の「B1昇格」に王手をかけた。

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第1Q、田中の3Pが勝利の合図だった。この日は前半だけで7本の3Pを成功。対する香川は前半わずか4本。B2で1位の3P成功率を誇る香川のお株を奪い、前半を41-33と8点リードで折り返した。

後半、仙台の勢いは加速した。堅守で相手のアウトオブバウンズ(ボールまたはボールを持つ選手がコート外へ出ること)やターンオーバー(ミスによる攻守の入れ替え)を誘発。第3Q残り7分から5分もの間、香川を無得点に抑え、その間に仙台は連続12得点。1試合平均得点リーグ3位と攻撃力の高い香川を第3Qは9得点に抑え、56-42とリードを14点に広げた。

第4Qも堅守を維持し、14点のリードを守り切った。藤田弘輝ヘッドコーチ(HC=36)は「本当に選手がディフェンシブで良いゲームだったと思います」。田中は「自分たちのゲームプランをしっかり遂行して、香川のオフェンスをいかにさせないかができた試合でした」。持ち味の堅守でプラン通りに香川を抑え込んだ。「僕のこのチームでの1番の役割が、どれだけディフェンスで相手に嫌がられるかだと思う。その点で合格点をあげられる結果を出せたかなと思います。これを明日も続けます」と田中。「89ERSのバスケット」の一翼を担い、気持ちを切らさず2連勝をつかみにいく。

16-17シーズン以来のB1へ、あと1勝だ。「1試合目を勝つということは心理的にすごく大きい」と藤田HC。準々決勝は第2戦を落としたが、同じ過ちは繰り返さない。藤田HCは「(第2戦は)気持ちで負けた。明日は受け身にならず、チャレンジャーの精神を忘れずに戦いたい」。福島戦で得た教訓を生かし、福島と仙台のブースターの思いを背負って、B1に到達する。【濱本神威】