6月3~5日に行われる柔道の国際大会グランドスラム(GS)トビリシ(ジョージア)に向けて、男子の日本代表選手団が29日、出国した。

60キロ級の古賀玄暉(23=旭化成)は「パリ五輪(24年オリンピック)に出場するために、ここで何としても勝たなければいけない。とても大切な大会。優勝を目指して頑張りたい」と意気込んだ。

92年バルセロナ五輪の71キロ級金メダリストで、昨年3月に53歳の若さで亡くなった稔彦さんの次男。4月の全日本選抜体重別(福岡)で2連覇したが、対海外勢の実績を主な理由に、杭州アジア大会(9月から延期、中国)や世界選手権(10月、タシケント)の代表には選ばれなかった。

確かに、昨年6月の世界選手権(ブダペスト)は初戦敗退で、同10月のGSパリも5位だった。「大きな技で勝負を仕掛けてしまった。今回は1つ1つの試合を決勝戦だと思って。地味に、じゃないですけど、組み手から意識して勝ちにこだわりたい」と同じ轍(てつ)は踏まない心構えだ。

年が明け、選抜体重別の決勝では、昨夏の東京五輪で金メダルを獲得した高藤直寿(28=パーク24)に勝つことができた。華麗な出足払いで一本。手応えがあっただけに「世界選手権、アジア大会に出場することを目標に4月を迎えて。その選考結果に関して、自分の中で歯がゆいというか、いろいろな気持ちもあった」と打ち明ける。

一方で自身の現状は理解している。世界選手権代表の高藤、アジア大会代表の永山竜樹(26=了徳寺大職)という高い壁。「高藤選手、永山選手を追いかける立場として、出る大会で全て勝つことが求められている」。国内外で勝ち続けるしかない。

約8カ月ぶりの海外遠征となるGSトビリシは第8シード。「第1シードの選手と、順当に勝ち上がれば準々決勝で当たる」。地元ジョージアのルフミ・チフビミアニ(29)がターゲットだ。

19年の世界選手権(東京)で優勝した実力者。東京五輪では準々決勝で高藤に敗れて7位だったものの「元世界王者ということもあって、ここで勝つことができれば自信になりますし、結果としても五輪につながる。いい結果になると思うので、今大会、必ず勝って自分の強さを見せられたら」。そう闘志を燃やして機上の人になった。

66キロ級の田中龍馬(筑波大)と73キロ級の大吉賢(了徳寺大職)も出場。90キロ級では東京五輪代表の向翔一郎(ALSOK)が再起の第1歩を踏む。100キロ超級の原沢久喜(長府工産)は負傷で辞退した。【木下淳】