世界96位の西岡良仁(26=ミキハウス)が、金星で、自身3度目のツアー決勝に進出だ。ツアー11勝を誇る同8位のアンドレイ・ルブレフ(24)に6-3、6-4のストレート勝ち。決勝では自身ツアー2度目の優勝をかけて、ウィンブルドン準優勝で同63位のニック・キリオス(27=オーストラリア)と対戦する。

日本男子がシングルスでツアー決勝に進むのは、西岡自身が20年2月のデルレービーチオープンで準優勝して以来約2年半ぶり。また、トップ10への金星は、21年東京オリンピック1回戦で、錦織圭(32)が、やはり7位のルブレフに勝って以来1年ぶりとなる。

久しぶりに、西岡の緩急自在のプレーが戻ってきた。西岡は「彼のミスを誘いつつも、自分から積極的に行こうと思った」と、ルブレフを振り回した。しつこく粘り、相手が攻めてくればカウンターで勝負。2本目のマッチポイントで、ルブレフの武器のフォアがミス。相手の強打を封印した。

22本の決定打を打たれたが、ルブレフから凡ミスを33本も引き出した。西岡の決定打は10本少ない12本だったが、凡ミスは13本におさえた。順回転が効いた山なりの球で押し込み、徐々に追い詰めていくあり地獄テニス。そしてカウンターにも切り替える。今季ツアー3勝を挙げ、全仏8強の強豪を完全に手玉に取った。

20年2月に自身最高の48位にまで上昇した直後だった。新型コロナウイルスの感染拡大とともに、ツアーは半年ほど中断。再開されても、バブルの隔離、毎回の検査などが続き、ツアー転戦が苦痛になった。今年1月の全豪1回戦で敗れ、世界ランクは3ケタに転落。「全く楽しくない。このまま結果が出ないなら、残り2年で引退する。気持ちが持たない」と、精神的にも追い込まれた。

身長170センチは、トップ100で、1~2を争う小柄な選手だ。一発で決めるパワーがない分だけ、集中力と展開力が持ち味。しかし、精神的に落ち込むと、その持ち味が出せずに、心が切れてしまう。しかし、今大会は、ようやく西岡らしさのプレーが戻った。

この勝利で8日に発表予定の最新世界ランキングでは54位にまで上昇予定。優勝すれば、42位前後となり、自身の最高世界ランキング48位を更新する。ツアー優勝を飾った日本男子は過去、西岡を含めて5人。しかし、複数回の優勝は錦織だけだ。48位となった日から、約2年半をかけて、西岡が世界の舞台に戻ってきた。

 

◆シティオープン決勝は、8月8日、WOWOWライブで放送予定。