東京パラリンピック金メダルで、世界王者の国枝慎吾(38=ユニクロ)が、男子シングルス史上初の年間4大大会全制覇(年間グランドスラム)に王手をかけた。日本選手対決となった準決勝で、同10位の三木拓也(33=トヨタ自動車)に6-1、6-2で快勝し、決勝に進出。決勝では、同2位のアルフィー・ヒューエット(英国)と対戦する。

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解説 車いすテニスの世界ツアーは、各大会のレベル分けが大きく変わり、いつから現在の4大大会かを定義するのは難しい。現在のように、一般の4大大会と同じ会場で車いすテニスが開催されるようになったのは、02年の全豪が最初だ。05年にウィンブルドン、全米、そして07年に全仏が同時開催となった。

それまでは、車いすテニスだけの大会として、4大大会と呼称されるスーパーシリーズというカテゴリーが存在した。全豪、ジャパンオープン、全英(ウィンブルドンではない)、全米の4大会だ。その4つを制することが、4大大会制覇だった。

そのうち、全豪は07年に車いすテニスだけの大会と、一般の全豪会場で同時開催の大会が合体し、1つの大会となった。それ以外の、ジャパンオープン、全英、全米の車いすテニスだけの大会は現存し、現在の4大大会とは別の大会として、ツアーの一部を構成している。

車いすテニスの世界ランキングの制度として、国際テニス連盟(ITF)がグランドスラム(4大大会)のカテゴリーを正式に創設したのが09年からだ。現在の4大大会という定義を、一般の会場と同時開催したときからと考えるのか、カテゴリーができてからと考えるのか。

ITFは、国枝の4大大会シングルスの総タイトル数を28と発表している。つまり、07年に全仏が一般テニスの会場と同時開催となり、すべての4大大会が一般テニスと同一会場で行われるようになったときから数えている。

また、ウィンブルドンがシングルスを採用したのが16年。厳密に言えば、現在の4大大会のシングルスがすべて出そろったのは、16年以降となる。それまでは、ウィンブルドンを除いた全豪、全仏、全米の3大会を制することが、車いすテニスのグランドスラムだった。

◆全米オープンテニスは、8月29日から9月12日まで、WOWOWで全日生放送。WOWOWオンデマンドでも全コートでライブ配信される。