ショートプログラム(SP)2位発進の渡辺倫果(20=法大)が、自己ベストを大幅に更新して初優勝を飾った。

フリートップの146・31点を記録し、合計213・14点。SPの66・83点と合わせ、従来の自己ベストだった22年世界ジュニア選手権の得点(SP=59・96点、フリー=105・48点、合計=165・44点)を全て更新した。合計点は47・70点の上積みとなった。

喜びをにじませて、渡辺が両手を顔に当てた。冒頭で得点源のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を決めた。構成通りにジャンプを消化して加点を重ねると、3つのスピン、ステップは全て最高のレベル4。最終盤の3回転ルッツは両足着氷で1回転下の判定となったが、SPとの2日間でミスを最小限にとどめる安定感ある演技が光った。

昨季は全日本選手権で6位と躍進。かつてはカナダを拠点とし、コロナ禍での渡航制限などで苦しんだが、千葉に拠点を移して着実に成長を続けてきた。注目度が高まる今季だが「アイスショーで新しいプログラムを披露しても『雰囲気が好きです』『もっとこうした方が綺麗に見える』と言ってくださる方がいる。1個ずつ拾っていって、魅力的になっていきたい。“皆さんで作る渡辺倫果”のスケートを楽しんでいます。(周囲の思いを)背負うっていうのは荷が重いけれど、受け入れるというか、取り入れる感じです」と独自のスタイルを貫く。

新たな自己ベストとなる合計213・14点は、坂本花織、紀平梨花、宮原知子、三原舞依、樋口新葉に続く日本女子歴代6位(17~18年シーズン以前の記録はリセット)の高得点。さらなる飛躍へ、最高の形で弾みをつけた。【松本航】