18年平昌オリンピック（五輪）500メートル金メダリスト小平奈緒（36＝相沢病院）が、地元長野で万感の現役ラストレースを迎える。

午後0時5分過ぎに始まる競技を前に、午前11時ごろからのウオーミングアップに参加。埋まり始めた観客席を見上げながら、ゆっくりとリンクを回って氷の感触を確かめた。

2日前の公式練習でも「自分の感覚と氷から受け取る感覚が意気投合した。最後まで仲良く滑りたいな、ありのままでリンクの上に立っていたいな」と好調を示した一方、練習では集中を極め「夢中で感情の扉が開く隙がなかった」とも語っていた。

会場は収容6400人のチケットが完売。施設職員は「満員は（98年）長野五輪以来ではないか」と説明している。

最高の花道に、小平は「閑散とした中で滑ることが多かったけど、長野、信州で生まれ育った私としては本当にありがたい。（満員の場内が）イメージ通りなのか、違った景色が見られるのか、楽しみ」と夢を膨らませていた。

五輪では4年前の平昌大会500メートルで日本女子初の金メダルを獲得。主将は勝てないジンクスも破った。同距離では16年から37連勝の記録も樹立。今も500メートルの日本記録（36秒47）を持つ。

五輪では10年バンクーバー大会の団体追い抜きで銀メダル。平昌大会では1000メートルの銀メダルも手にした。

4月12日に、この日を最後に引退することを表明。万感の思い、万全の状態で現役最後となる公式戦の氷に立っている。【木下淳】