18年平昌オリンピック(五輪)500メートル金メダリスト小平奈緒(36=相沢病院)が、地元長野での現役ラストレースを優勝で飾った。

日本女子初の五輪制覇や男子の清水宏保に並ぶ最多タイのW杯34勝など、数々の金字塔を打ち立ててきた一方で「氷上の詩人」の異名も取る。わずか数ミリのずれでタイムロスし、時には転倒につながる競技。技術を突き詰め、最速を極めた女王が残してきた「言葉」から、その世界観に迫る。

「ブレードとの友情が深まってきた」

新しく取り入れたブレードの感触を聞かれて。「初対面から気が合った。自分の思いに応えてくれる。最初に履いた時、これで少し遊びたいな」と思った。

「血液を鍛えたい」

夏場の高地トレーニングのテーマを聞かれて。

「絵みたいな感じ」

レースでの集中力の高め方を表現。「しっかり輪郭をかいた絵に少し水をたらすような。後からぼかすというか」と説明。

「ブランコに乗っている感覚」

好調時の気持ちを例えると。「1回こぎ始めたらずっとこぎたくなる。そういう感じでした」という。

「透明の筒です」

レース前の気持ちの保ち方を問われて。「周りが見えない筒ではなく、周りは見えているけど、透明の筒で見て、自分のやるべきことだけに集中する」意味。

「スケートが自分の足になってくる。さらに言えば氷が自分の足になってくるような感じ」

今季W杯初戦で好記録を出した直後、滑りの感覚を言葉に。

「感情の扉が開く隙がなかった」

現役ラストレース前、最後の公式練習となった20日に。気持ちは高ぶる一方、氷上では集中を極めていたことについて尋ねられて。