ノルディックスキー・ジャンプ女子の高梨沙羅(26=クラレ)が、今季から女子も実施されるフライングヒルでの公式戦(来年3月、ノルウェー・ビケルスン)へ意欲を示した。

高梨は25日、全日本スキー連盟が都内で開いた会見に出席。ヒルサイズ185メートル以上の巨大なジャンプ台を使った試合について話題が及ぶと、「複雑な気持ち。すごく楽しみな気持ちが大きいけれど、準備しなければならないことも多すぎる」。素直な心境を口にしたうえで、「しっかりそこに向けて組み立てていきたい」と決意を込めた。

26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪での女子個人ラージヒル新採用が6月に決定した。同種目のヒルサイズ(110メートル以上)をさらに大きく上回るフライングヒルの経験は「1回もない」。助走距離が長くなることで「ラージと比べて2倍、3倍ぐらいのG(重力加速度)がかかると聞いている。それに耐えきれるぐらいのポジションを取る練習をしていかないと」。未体験の大台攻略へ、イメージを膨らませる。

来年3月の公式戦会場となるビケルスンのヒルサイズは240メートル。「もちろん怖さが1ミリもないというとうそになる。よくわからない感じですけれど、楽しみです」。

先日の全日本選手権(長野・白馬)ではノーマルヒルとラージヒルの2冠を獲得。来月5日のW杯開幕戦(ポーランド・ビスワ)に向け、着々と準備は進んでいる。来年2月開幕の世界選手権(スロベニア)も控える。

今年2月の北京五輪混合団体ではまさかのスーツ規定違反となり、絶望を味わった。今後についてさまざまな思いが交錯したなかで、再び飛び続けることを決意した。「見てくれている人に勇気と感動を与えられるパフォーマンスができるように、いろいろなことを積み上げていきたい」。明るい表情で、さらなる飛躍を誓った。【奥岡幹浩】