14年ソチ、18年平昌オリンピック(五輪)2連覇王者で、今年7月にプロ転向した羽生結弦さん(27)が夢を現実にした。約90分間の初の単独アイスショーを終え、プロの第1歩を踏み出した羽生さんが公演後、報道陣の取材に応じた。

主な一問一答は以下の通り。

-振り返って

「7月にプロ転向の会見をさせていただいてから、会場を含めて、全ての企画がスタートしました。かなり時間がない中で、大勢のスタッフの方々に頼みながら、自分の要望に応えていただきながらやってきました。これだけで感謝の思いでいっぱいです」

「このプロローグに関しては、自分の中では、これから始まる物語へのプロローグであり、また、すごく抽象的な話になってしまうかもしれませんが、自分がこれから新たに、決意を胸にして、目標に向かって、夢に向かって、1歩ずつ進んでいくんだという、自分が経験してきたことだったりとか、また皆さんに力をもらってきたことだったりとか、またあらためて皆さんと共有しながら次のステップに上がるように、という思いを込めて、このショーを企画、構成しました」

-演出は自身で

「正直、演技の配置だったり、順番だったりも含めて、どこに何を入れるかを考えた時、自分としては、記者会見があって、ちょっと過去に戻って、平昌五輪があって、それから、あらためて今まで全部の人生を振り返って、最終的に北京五輪のエキシビションがあり、今、現在に至る、みたいな感じにしたかった」

「なので、最初の方に平昌五輪の、僕の代表曲でもある『SEIMEI』を滑らせていただきました。6分間練習や、アイスショーでは考えられない、全部の照明をたいたままやるっていうのも、正直、どんな反応をしていただけるか。6分間練習も、試合の場ではない中でやるということで、どれくらい集中できるか、不安で仕方なったんですけど、実際に皆さんの声をまだ聞いているわけではないですけど、まずは『プロローグ』の1日目をやり終えて、皆さんの充実した表情だったり、反応をいただけたりと思うので、そういった意味では、ある意味成功したんじゃないかなと思ってはいます」

-自身で振り付けしたのは「いつか終わる夢」でいいのか

「はい。『ロミオ+ジュリエット』の後にやらせていただいたプログラムですね。(コンセプトは?)一言で表すのは難しいんですけど、うーん、まず一番最初に振り付けを、この曲に付けたいなと思ったのが、何となく滑りながら考えていた時に、皆さんが好きだと言ってくださったクールダウンの動きのところにピタッとはまったんですね」

「この曲というか、このプログラムに。そういえばクールダウン見たい、っておっしゃられていたので、じゃあプログラムにしようと思いつきました。それからタイトルも含めて、いろいろな曲を感じながら、原作である『ファイナルファンタジー10』の動きも、いろんなことを考えながら作っていく時に、僕自身の夢って、もともとは五輪2連覇というのが夢でした。そのあとに4回転半という夢を追い求めてきました。ある意味では、アマチュアという競技では達成することはできなかったし、ある意味ではISU(国際スケート連盟)公認の初めての、4回転半の成功者にはなれませんでした。そういう意味で、いつか終わる夢。皆さんに期待していただいているのにできない。だけれど、やりたいと願う。だけども、疲れてもうやりたくないって。皆さんに応援していただければいただくほど、自分の気持ちがおろそかになっていって、何も聞きたくなくなってしまい。でも、やっぱり皆さんの期待に応えたいみたいな。自分の心の中のジレンマを表現したつもりです。いつか終わる夢と、最後の『春よ来い』に関しては、演出はMIKIKO先生にお願いしました。ここまで本格的なプロジェクションマッピングを演出としてやっていただいたので、皆さんの中でフィギュアを見る目が変わったと思いますし、同じ目線から見るスケートと、下から見るスケートと、上から見るスケートと、またカメラを通じて見るスケートと、全く違った見え方がすると思うので、ぜひぜひ皆さんに見ていただきたいと思うプログラムです」【木下淳】

羽生結弦さん初の単独アイスショー「プロローグ」1曲目は「SEIMEI」/写真特集