ショートプログラム(SP)2位の中井亜美(14=MFアカデミー)がトリプルアクセル(3回転半)に成功し、初優勝を飾った。フリー1位の122・27点を記録し、合計185・86点で、2位に12・20点差をつけた。

「朝の公式練習で転倒してしまって、1本も降りられなかったんですけど、気持ちを切り替えて、最後の6分では降りられたので」。“最後の6分”とは、演技前の6分間練習のこと。自ら立て直し、曲が始まると、世界観に没入した表情に変わった。冒頭の3回転半。意を決して跳び、国内大会で初めて成功させた。

これで流れに乗り、ルッツ-トーループの連続3回転ジャンプも決めた。後半で転倒こそあったが、高々とリンクを跳び、華やかに滑りきった。

今季はジュニアグランプリ(GP)シリーズデビューを果たし、9月上旬のラトビア大会で3位表彰台入り。初戦で好成績を収めたが、中井自身は満足していなかった。「トリプルアクセルを着氷はしたんですけど、回転が回ってなくて。それが悔しくて」。次のポーランド大会では絶対に決める。拠点のリンクでは、同アカデミーの渡辺倫果(20=法大)らと切磋琢磨(せっさたくま)し、成功確率を高めた。

努力は裏切らなかった。1カ月後のポーランド大会では、3回転半に成功。優勝という最高の結果もついてきた。「それが自信にもつながって、練習でも降りられるようになりました」。

3週間後に全日本ジュニア選手権(25~27日、茨城)、12月上旬にはジュニアGPファイナル(8~11日、イタリア・トリノ)を控えるが、向上心は尽きない。

「ショートとフリーでノーミスの演技ができるようにしたい。GPファイナルも緊張すると思うけれど、たくさん練習して、自分らしく頑張れたらと思います」

優勝してもなお、口をつくのは練習の二文字。挑んだ数だけ、自信は深まる。【藤塚大輔】