ラグビー「リーグワン」1部クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(東京ベイ)のSO岸岡智樹(25)が4日、周囲からの視線を力に変えた。

大阪・東海大仰星高(現東海大大阪仰星)、早稲田大で日本一を経験した司令塔は、シーズンオフに全国10府県で「岸岡智樹のラグビー教室」を実施。この日、都内で2年目の活動を終えた報告会を開催した。

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12月18日、東京サントリーサンゴリアス(東京SG)とのリーグ開幕戦(味の素スタジアム)まで残り2週間。私服姿の岸岡が少し自虐気味に言葉を紡いだ。

「地方に行って保護者さんは『岸岡智樹』を知っていても、子どもは知らない。自分が頑張らない限り、この活動は永続的ではない。自分がラグビーを頑張る理由になる。活躍しないと『そんな人のところに行くか!』となる。ブーメランみたいな感じで、自分のケツをひっぱたいています」

ラグビーと社業に取り組む社員選手でありながら、今回のオフシーズンも積極的に全国を回った。大きなテーマは「地域格差」。実際に子どもや保護者とふれあい、地元の協会関係者と接する中で「地域格差は確実に存在する」という結論に至った。23年も5月のリーグワン閉幕後に活動継続を予定し「地方や場所によって抱えている問題が違う。その場所でカスタマイズしないといけない。地域の方々とより密な連携をとり、それぞれにカスタマイズするのが次の目標です」と早くも準備に入っていく。

もちろん、選手としてのプレーにも全力を尽くす。ラグビー、社業、個人での活動。その3つの並立こそがモチベーションになる。

「朝起きて、出社して、練習して、午後8時に帰ると、夜中の0時に寝るまで4~5時間ある。一般のサラリーマン(の就業時間)の半分があるから、12月から準備をすれば3カ月分のことはできる。僕自身はラグビーで英才教育を受けられる立場でしたが、そうじゃない子が圧倒的に多い。草の根の活動が、自分のモチベーション。現役選手だからこそできることが、そこにあると思っています」

チームは昨季3位と躍進した。初優勝を目指す過程で、自分の色を出す。

「リーグワンになって試合数が増え、チャンスが転がっている。引き出しを使ってアピールするだけ。パフォーマンスとしては、チームにアジャストすることが大事だと思っています」

今季も忙しく、唯一無二の挑戦を続ける。【松本航】