京都精華学園が、2年連続の決勝舞台で初優勝を飾り、昨年準Vの悔しさを晴らした。「SoftBankウインターカップ第75回バスケットボール全国高校選手権」(日刊スポーツ新聞社特別協力)女子決勝で、主将のイゾジェ・ウチェ(3年)が、いずれもチームトップの35得点18リバウンドの活躍。チーム一丸のスキを与えない試合運びで札幌山の手(北海道)に快勝し、今夏の高校総体に続き「夏冬2冠」を決めた。29日の男子決勝は、高校総体Vの福岡第一と高校総体2位の開志国際(新潟)によるインターハイ決勝と同じ顔合わせとなった。

   ◇   ◇   ◇

188センチのナイジェリア人留学生ウチェ主将を中心に、喜びの輪ができた。昨年はコートの端で悔し涙を流し、優勝セレモニーを見つめた選手たちが、今年は泣き笑いでコートにはねた。チーム一丸となった京都精華学園が、圧倒的な強さで頂点に駆け上がった。

「中学からずっと負けてきたけど、今日はちゃんと勝ってよかった。チームが一丸となって力を合わせてやった」。優勝インタビューで、ウチェは声を張り上げた。序盤から激しい守備で相手攻撃を抑え込み、前半で65-41。相手に疲れがみえた後半は、ウチェの6連続得点などで34点を重ねた。57本対15本と圧倒したリバウンドでも、主将がチームトップの18本を取って攻撃を支えた。

「留学生をキャプテンにしているチームはどこを探してもない。例がないなら、うちがやってやろう。最初は不安だらけでしたが、ウチェを育ててやろうと」と、中学から指導してきた山本綱義アシスタントコーチ(72)は言った。チームを強くするためのかけだった。当初は、日本語がうまく使えないウチェを周りの選手たちが支えた。それが時に、ウチェが周りを厳しく指導するようになり、結束は強まった。

「今年はちょっとバラバラ」というチームは、ウチェがたとえマークされても3年の柴田や2年の八木が得点。守備でも2年の堀内が頑張るなど、それぞれが役目を果たし、経験を重ねるごとにスキのないチームになった。この試合22得点の柴田は「この1年を通して、ウチェがキャプテンでよかったとすごく思う」とうなずいた。

留学生主将のもとでまとまったチームは、高校総体との2冠を達成。2年生エースの八木は「今までは下級生として3年生を支える立場だったが、次は自分がウチェさんみたいな3年生になって、最後優勝して終われるようにしたい」と、連覇への決意をしっかりと口にした。【桝田朗】

○…「48年、子どもたちの才能を信じてやってきた。子どもたちが結果を出し、感激でいっぱい」。山本コーチは言葉を詰まらせた。

京都精華学園とのつながりは、大学時代に始まった。同校事務職のアルバイトをしながら同志社大に通学。卒業後に教員になり、本格的にバスケ部を教えるようになったのが48年前だった。教頭、校長、理事長となってもバスケ部の指導は継続。現在の中高一貫のスタイルを作り上げた。

「1回戦も勝てない時期が長く続いた。いろんな教えを受け、1ミリずつ成長すればと思ってやってきたが、気が付いたら、これだけ高いところに来ていた」。この日の先発5人のうち4人が同校中学からプレー。中、高と見てきた選手たちが悲願の優勝をもたらしてくれた。妻が寮母を務める寮で、ウチェ主将ら留学生の面倒をみるなど、日々の努力を実らせた。

「72歳になったんで、優勝したら辞めるつもりだったんですが、なかなか辞められません」。喜びの会見で、うれしい悩みを打ち明けた。

◆テレビ放送 男子決勝は29日午後1時からテレビ朝日系で生放送。

【高校バスケ】スコア速報>>