2大会ぶり12度目出場の東海大静岡翔洋が、2017年度以来の初戦突破を決めた。27大会連続29度目出場の仙台育英(宮城)に24-17で逆転勝利。試合終了間際にフランカー田村仁(3年)が決勝トライを決め、大接戦を制した。30日に行われる2回戦では、前回出場時の20年に初戦で敗れた秋田工(秋田)と対戦する。

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東海大静岡翔洋の執念が上回った。17-17の同点に追いつき、迎えた試合終了直前の後半30分。ゴール前7メートルのラインアウトからモールで押し込むと、最後は田村が決勝トライを奪った。観衆400人のどよめきが歓声に変わり、花園ラグビー場に響き渡った。

選手たちも雄たけびを上げ、抱き合い、喜びを爆発させる。20年の就任後、自身2度目の花園挑戦で「初勝利」をつかんだ津高宏行監督(39)は「1年間やってきたことを信じて勝ちきった選手たちを尊敬します」と、最敬礼でたたえた。

仙台育英の反則から、劇的勝利を呼び込んだラスト1プレー。PGの選択肢もあったが「FW勝負」を選んだ。NO8名取稜太郎主将(3年)は「1年間、モールで勝つことにこだわってきた。ここでトライを取れなければ、俺たちのラグビー人生は終わる。死ぬ気で押そうと話した」。積み上げてきた武器を信じた先に、歓喜が待っていた。

2回戦の相手は、前回出場した2年前に0-68の大敗を喫した秋田工に決まった。当時、グラウンド上で屈辱を味わった名取は「2年前は手も足も出ずに負けてしまった。今日の課題を修正してやり返したい」と誓った。指揮官も「気を緩めず、しっかり分析して臨みたい」と口元を引き締めた。「シード校撃破」の目標に向け、次は歴代最多15回の優勝を誇る古豪にリベンジを果たす。【前田和哉】

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