初優勝を狙うBシード国学院栃木が前回覇者への挑戦権を得た。

今大会初戦で茗渓学園(茨城)との隣県対決を43-12で制し、2大会連続の年越し。元日の3回戦で前回の決勝で敗れたBシード東海大大阪仰星(大阪第3)との再戦が決まった。SO伊藤龍之介主将(3年)とFB青柳潤之介(3年)の高校日本代表候補コンビを中心に、吉岡肇監督(61)は「国栃史上最高」と胸を張る。2回戦で全チームが出そろい、Bシード常翔学園(大阪第1)は尾道(広島)に敗れた。

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大黒柱2人を横目に、国学院栃木で就任35年目を迎えた吉岡監督の自信がみなぎった。「飛車角が3年生。やはり1年生と3年生では大きく違いますから。今年も強い。国栃史上最高の力を持っている」。隣でFB青柳は「気持ちも体もフレッシュ」と言い切った。

初戦快勝の茗渓学園を圧倒した。象徴は22点リードの後半15分。FWがじりじりとモールを押し込むと、思い切って右に展開した。青柳はSO伊藤から2人飛ばしたパスを受け、相手タックルを振り切った。2対1となり、すかさず右WTB大友へバックフリップパス。強いFW、華麗なBKが一体でトライを決めた。

前回大会、快進撃で決勝へ進んだ。原動力となった2人だが、青柳は後半開始直後に負傷し右足首の複数の骨を折った。医務室で戦況を見つめ「来年は絶対に優勝してやる」と誓った。復帰は夏合宿。リハビリ中は仲間が学校生活で荷物を持ってくれ「いろいろな人に助けてもらった」と周囲の優しさが支えになった。

兄も明大の司令塔として活躍する伊藤は、長短織り交ぜたスピードあるパスで攻撃の起点となった。次戦は東海大大阪仰星。吉岡監督は「『スクラム押さないで国栃かよ!』というところがある」と伝統のFWにもこだわりをにじませ、伊藤は「どこと当たる、いつ当たるは関係ない。優勝に向かって、その中の相手が仰星なだけです」と頂点をはっきりと意識した。舞台は元日の花園。2023年、最高のスタートを切る準備が整った。【松本航】

◆前回の決勝 国学院栃木は伊藤、青柳ら先発15人中6人が2年生。序盤から劣勢を強いられ、前半を5-15で折り返す。反撃に出た後半だったが、11分に青柳が負傷交代。20分以降は東海大大阪仰星に3トライを許し、5-36で敗れた。