慶応大ラグビー部の監督業を4年間担った元日本代表でOBの栗原徹氏(44)が11日、新監督への信頼を口にした。横浜市内の大学施設で監督交代記者会見に臨み、FWコーチを務めていた青貫浩之新監督(38)と同席。茨城・清真学園中高、慶大の後輩となる新監督に向けて「絶大なる信頼がある。人間性、タフさ、誠実さ、どれをとっても一級品の人間にバトンを渡せて、安堵(あんど)しています」と思いを明かした。

栗原氏は19年にヘッドコーチ(のちに役職名は監督へ変更)に就任。慶大は任期が1期2年、2期4年となっている中、4年間の仕事を全うした。19年の就任時に、味の素の社員だった青貫新監督をコーチとして招聘(しょうへい)。このたび新監督は同社を退職し、ラグビー部の監督となる。栗原氏は「私が(19年に)就任する際に『ぜひタフな選手を作ってほしい』『慶応にとってバックローは花形、命。そこを見てほしい』とお願いした。ラグビーを教えることはもちろんだが、何より大切なのは比重で言えば7対3、8対2で学生と向き合うこと。人間的に成長できれば、ラグビーはYouTubeでも見られて(学生が)自分で学んでいける世代。(後任をトップレベルの)ラグビー経験者の中だけで考えるのは浅はか」とした上で「非常に優れたビジネスマンで、組織の問題を別の角度から分析してメスを入れられる。すごく期待しているし、そういう風に組織改革できる」と期待を込めた。

自身も今後、コーチング業を続けていく予定という。監督最終年となった今季は関東対抗戦4位で全国大学選手権に進み、同選手権では準々決勝で京都産業大(関西1位)に33-34で敗れた。和田康二ゼネラルマネジャー(44)からは「本当に多くのものを残してくれた。監督としてラグビー面では150人を超える部員と向き合い、全員と面談を重ねて、コロナ禍の難しい時期に人を作ってくれた。栗原前監督のネットワークにより、国内外の優秀な指導者とのつながりから最先端のラグビーナレッジ(知識)がアップデートされた。直接は関わりがなくなるが、これからも慶応ラグビーの近くにいてほしい」とねぎらわれた。【松本航】