王者が復活を遂げた。北京五輪金メダリストの小林陵侑(26=土屋ホーム)が合計280・9点で逆転優勝を果たした。1回目141メートルの2位から、2回目143メートルの大飛躍でひっくり返し、今季2勝目、通算29勝目を挙げた。札幌3連戦で優勝、3位、優勝とすべて表彰台に立つ強さを見せ、W杯個人総合は7位に浮上した。

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小林陵が来場した3200人を大いにわかせた。2回目、ヒルサイズの6メートル先で着地すると、右手でガッツポーズを2度決めた。空中での安定感、着地でのテレマーク姿勢をしっかり決めて、美しい飛躍を披露。飛型点では5人中3人が20点満点をつけ、そのうち1人の飛型審判員から「俺20点つけるの初めてなんだ」と声を掛けられ、一緒に記念写真を撮るなど「いやー、はしゃいじゃいました。うれしくて」と喜びを爆発させた。1位通過した予選含め、この日3回ともただ1人140メートル台をたたき出す強さだった。

約2週間、じっくり調整できたことが結果につながった。15日のザコパネ大会を欠場して帰国し札幌大会に備えた。ジャンプ練習で10本ほど飛び、フィジカルトレーニングにも取り組めた。今大会から着用した新しいスーツは、これまでと生地のカッティングが違い、空中での後半の伸びを感じられるようになった。「いろいろかみ合ってきた。道具も、技術も、体も」と手応えを口にした。

昨季W杯個人総合覇者が、今季は前半戦で苦しんだ。札幌大会前までは、昨年11月5日の開幕戦ビスワ大会の7位が最高で表彰台にも届かず、11戦連続2ケタ順位。個人総合では21位だった。札幌3連戦では表彰台に立ち続けると「すごく自信になった。久しぶりに楽しかった」。気持ちも満たされる3日間となった。

この勢いに乗り、シーズン後半戦に突入する。まだ優勝経験がない今季のビッグイベント、世界選手権(2月開幕、スロベニア)に向けて「毎回微妙な結果で終わっているので、今年こそはリベンジしたいですね」と、柔らかな笑みを浮かべていた。【保坂果那】

■二階堂蓮、自己最高14位

今季初めてW杯開幕メンバー入りし参戦中の二階堂蓮(21=日本ビール)が131メートル、133・5メートルを飛んで、自己最高の14位に入った。前日21日の30位に続くW杯ポイントを獲得。20年2月のW杯デビュー舞台での健闘に「この2日間しっかりポイントをゲットすることができたので、次につながる試合になった」と振り返っていた。