初の日本選手権2連覇を達成したロコ・ソラーレのサード吉田知那美(31)が、ファンへの思いを言葉に込めた。

2年連続4度目の優勝を地元・北見市のアドヴィックス常呂カーリングホールで飾ったものの、今大会は無観客での開催だった。ショットを決めても、ファンの息遣いは耳に届かない。「スポーツの世界に一番大切な観客が戻ってきている中、カーリングでは日本選手権でも有観客をかなえられていない状況で…」と胸の内を明かした。

ただ、大会期間中に町を歩くと、至るところで声をかけられた。「全日本、頑張ってね!」。人の温かさに触れるとともに、身が引き締まる思いにもなった。

今大会は「自分たちのカーリングをして勝つ」と繰り返してきた。4日に決勝進出を決めた際には「アスリートとしても、エンターテイナーとしても、見ていて楽しいカーリング、やっていて楽しいカーリングを求めている」と判然とした口調で言った。

無観客のホールで“エンターテイナーとしてのカーリング”にこだわったのは、画面の向こうのファンに届けたいという思いゆえでもあった。

吉田知はひときわ力を込めて言った。

「たくさんのファンが応援してくれているので、本当は皆さんの前でプレーしたいんですけど。でも、それがかなわずとも、テレビで見ていて『面白いカーリングだね』とか『明日ちょっと頑張ろう』と思ってもらえるよう、パフォーマンスだったり、氷上での態度だったりをチームで意識しています」

だから決して見失わない。

「どこで戦っていても、北海道であっても、世界で戦っていたとしても、ファンの皆さんが見てくれていることを忘れずに氷に立ちたいと思います」

3月には世界選手権(スウェーデン)を控える。日本から7900キロ離れた北欧の地でも、ファンを思ってストーンを投じる。