来年のパリ五輪予選として開催されるワールドカップ(W杯)バレー開幕(9月16日)まで、8日であと100日となった。バレーボール女子日本代表を率いる真鍋政義監督(59)が、WBCで世界の頂点に立った侍ジャパン前監督の栗山英樹氏(62)、サッカーW杯カタール大会で日本を16強に導いた森保一監督(54)と初“サミット”に臨んだ。WBC、サッカーW杯メンバーでセッターに向いていそうな選手は? ムードメーカーと言えばやっぱりあの男? ざっくばらんなクロストークを前後編でお届けします。【取材、構成=勝部晃多・古川真弥・岡崎悠利】

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試合の中では、ベンチからの指示伝達も重要になる。バレーボールでは、今回女子代表に初選出された西村弥菜美ら、レシーブ専門のリベロがその役割を担う。

真鍋 リベロの選手だけユニホームが違うんですよ。(審判の許可なくコートを)出たり入ったりできるポジションなので、いろいろな指示をコートに入れたり、工夫はしています。

栗山 野球での指示伝達役はキャッチャーやショートですかね。たとえばマウンドに選手が集まった時は、そこに入っている選手じゃないといけない。言葉を通さなくても、こっちからの「頼むね」みたいな目線を、うまくまとめられるみたいなことはありますね。

森保 バレーの場合は監督がリベロに直接指示しながら「もっといけ、もっといけ」みたいな会話をすることも結構あるんですか?

真鍋 時間がないのでそこまではしませんけど、担当コーチが守備隊形とかいろいろ伝えていますね。

森保監督は最前線で自ら指示を伝えているように見えるが、実は…。

森保 サポーターの応援の声などもあって、伝えてるようで、ほぼ伝わっていないと思います。なので、しゃべっているように見せて選手に気づいてもらって、コミュニケーションのきっかけになればいいかなと。だから試合前に、いろんなパターンやプランをどれだけ準備できるかは、すごく大切になりますね。

栗山 サッカーはタイムもないですもんね。

森保 1回だけメモを渡したこと(※2)はあります。選手が混乱しているなと思ったら、何らかの手段で伝えないと、と。そういう意味では声が届くのはうらやましいです(笑い)

声の話から、話題はムードメーカー役の存在に。

栗山 僕は、代表の場合は無理やりやってくれというようなことは言いませんでした。そういうタイプじゃないのに無理やり誰かがいつも元気出して、というのは続かないなと。

森保 おっしゃる通りです。個々の良さをパズルのようにつなぎ合わせて1つのものを作るのが代表だと思います。その中で自然とそれぞれのキャラクターからリーダー的な選手だったり、盛り上げ役は出てくる。誰がどうしてくれるかっていうのは、選手間で作ってくれる。そういう意味ではW杯では経験のあるベテランの選手たちの力には助けられました。

バレー女子代表の盛り上げ役はリオ、東京と五輪舞台を2度経験している島村春世。ベテランの存在の大きさを実感しているからこそ? 真鍋監督はあのブラボー男の名を挙げた。

真鍋 W杯では、やっぱり長友(佑都)選手がムードメーカーでしたよね。長友選手、女子バレーにも欲しいですね。ぜひ1度練習に来てほしいぐらいです。

森保 本人に伝えておきます(笑い)。

 

※2 3月28日の親善試合コロンビア戦の後半33分に投入した浅野にメモを渡し、浅野から遠藤へ。遠藤はメモを見ながら指示し、その後ソックスにしまった。

 

◆パリ五輪への道 出場枠は開催国フランスを含む12。9月に開催される五輪予選W杯バレーは、世界ランキング上位24カ国が8カ国ずつ3組に分かれ、日本など3都市で対戦。各組上位2カ国が出場権を得る。ここで獲得出来なかった場合は、五輪予選で出場権を獲得した6カ国とフランスを除く世界ランキング上位5カ国が出場権を得る。日本がW杯バレーで出場権を逃した場合は、ランキングのために来年のネーションズリーグでポイントを重ねていくことが必要となる。

 

○…真鍋監督、栗山監督、森保監督が11日午後10時から放送の「Mr.サンデー」(フジテレビ系)で、令和の“理想の上司”像をテーマに語り合う。日本代表監督3人による三者三様のリーダーシップ論。職場で悩めるすべての人にとって役立つヒントをお届けする。

 

○…来年のパリ五輪予選として開催されるW杯バレーのチケットは10日から一般販売がスタートする。詳細は、チケットぴあWEBサイト(https://t.pia.jp/)にて。

 

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