歓喜の輪が“ホーム”で生まれた。女子は郡山女大付(福島1位)が、ダブルヘッダーとなった決勝で米沢中央(山形1位)と激突し、2-0でストレート勝ちした。エース浅利麻央、セッター後藤涼風(ともに3年)を中心にチーム一体で戦い抜き、地元開催で初優勝を成し遂げた。男子は東北(宮城1位)が山形中央(山形1位)を2-0で撃破し、4大会連続15度目の優勝を果たした。

 

郡山女大付が、新たな歴史を刻んだ。準決勝は1月の全日本高校バレーボール選手権(春高バレー)優勝校で“V5”を狙った古川学園(宮城1位)を2-1で破って決勝へ。米沢中央戦は第1セット(S)を先取後、第2Sもサーブで相手の攻撃を崩すと、身長178センチの浅利らがブロックし、狙いを絞らせない後藤のトスワークから得点を積み上げ、勢いに乗った。

訪れた初優勝の瞬間。ベンチの選手もコートに向かい、歓喜の輪が広がった。1年時から春高バレーを経験する浅利は「涙が出るかなと思ったが、実感がなくて出なかった。今までの練習でも涙をたくさん流して頑張ってきたので、優勝はうれしい」と笑った。

春高バレー後からチームの最終学年。引っ張らないといけない自覚は芽生えたが、「最初は空回りしてうまくいかないこともたくさんあった」。支えてくれたのが仲間だった。「『麻央らしく頑張れ』という言葉に助けられて、試合でも思い切りプレーできるようになった」。ポジションは変わっても、笑顔で楽しくプレー。託された場面でしっかり仕事を果たした。

「東北女王」として今度は全国高校総体(8月1日開幕、北海道釧路市)に舞台を移す。佐藤浩明監督(55)は「勝つことよりも福島の人が喜んでくれたり、『ここ(郡山女大付)でやりたい』と言ってくれる人が増えるのが僕の望み」。多くの人に愛され、憧れるチームへ。高みを目指す。【相沢孔志】

 

○…米沢中央(山形1位) 2月の東北高校新人準決勝で勝利した郡山女大付(福島1位)にストレートで敗れ、14年ぶりの優勝を逃した。大幅にリードを許す展開となり、石田和也監督(51)は「当然の結果。細かいミスや雑なプレーが多い。(相手は)数カ月で成長していて力の差を感じた」。8月には全国高校総体を控える。「守備からリズムをつくれるように、まずは基本的なところを鍛え直す」と最善の準備を誓った。