昨季のジュニアグランプリ(GP)ファイナル4位の中村俊介(17=木下アカデミー)が2週間の特訓の成果を見せた。

「先生にまた教えてもらって、『だいぶ良くなった』って言ってくれて。『この2週間で、これだけ成長できるんだから、同じように練習していったら、もっともっと上を目指せる』って言われて。この2週間頑張ってきてよかったし、これからも頑張っていこうと思います!」。声が弾んだ。

2週間前の全日本シニア合宿だった。講師役を務めた北京五輪アイスダンス銅メダリストのザック・ダナヒュー氏から、演技に直球のダメ出しを受けた。「雰囲気が全然作れていない。ショート(プログラムーSP)の曲に合わせた雰囲気が作れていないっていうのと、音楽に全く合ってなくて。感情移入が全然できないと。具体的な部分で、まだ意識が足りてない、目指す意識ではない、今の練習は、と」。自分でも課題と感じていた部分を、ズバリを指摘されたという。

落ち込むよりも、奮い立った。昨年の合宿以来1年ぶりの再会だったが、その言葉が良薬だった。「言われてすごいうれしかったし、なかなか、1年に1、2回しか会えない先生なのに、ここまで熱心に気持ちを込めて指導してくれる先生はなかなかいない」。感謝して、再び会える今回のジュニア合宿へと猛練習してきた。

これまでは「8割」ジャンプだったが、スピン、ステップシークエンスなどに重きを置いた。「今まではジャンプ、ジャンプで好きなことをやってきた。5割ずつにするくらいで。とことん、演技1つ1つを見つめ返して、ブラッシュアップできるようにしてます」と避けていた課題を直視し、変わろうともがいた。わずか2週間かもしれないが、ダナヒュー氏も変化を感じ取ってくれた。「続けていけば上を目指せる」。その言葉に背中を押された。

気づけばジュニア合宿に参加した選手では最年長となった。「僕が先輩から教えてもらった行動、スケート以外での行動を、自分が姿勢で見せてやらなきゃなって思ってる部分もある。正しい行動を取るように心がけてます」と気も引き締まった。「ジュニアの試合はもう全部勝つつもりで。全日本ジュニアは優勝で、海外の試合も全部優勝できるように!」。この2週間を、最高の今季につなげていく。