15歳の中田璃士(りお、TOKIOインカラミ)が首位と9・30点差のショートプログラム(SP)4位から大逆転優勝を飾った。フリーで160・06点をマークし、自己ベストの合計227・77点。8日にジュニア女子を島田麻央が連覇しており、日本勢のジュニア男女のアベックVは09年羽生結弦、村上佳菜子以来の快挙となった。年齢制限により26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪には出場できないが、日本男子5人目のタイトル獲得をステップに、さらなる高みを目指す。

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中田が3本目のジャンプの軌道へ入った。構えは後ろ向きではなく、前向き。この日2本目のトリプルアクセル(3回転半)を決め、大歓声が湧き上がった。「演技をやっている時にアクセル2本に変えました」。今季初のフリーでの3回転半2本投入だった。

全日本ノービス選手権A(6月30日時点で満11~12歳)で20年から2連覇したホープ。今季はジュニアGPシリーズ2戦で優勝と2位の好成績を収め、上位6人によるファイナルへ全体1位で初進出した。しかし、7日のSPでは冒頭の3回転半で転倒。「いつもならもっとグイグイいくんですけど…」と肩を落とした。

中1日で迎えたフリー。最終滑走だったSPでは前の選手の得点を全て確認したが、この日は「ひたすら集中していました」と見なかった。本番直前には野球の打者をまね、リンクサイドへ「予告ホームラン」ポーズ。自信の表情で滑りだし、4回転トーループ、3回転半-3回転トーループを決めて3本目へ入った。今季のフリーでこれまで3回転半2本を成功させたことはなかったが「1位(でファイナル進出)の意地を見せないと」と自分の判断で投入。中庭健介コーチも「構えに入った瞬間に感動した」とたたえた決断だった。

そのチャレンジが逆転につながり、「ホームラン、出ました!」とほほ笑んだ。「すごく自信になった。まだまだ試合はあるので、気を抜かずに1つ1つの試合を大事に」と引き締めることも忘れなかった15歳。初タイトルにも慢心せず、突き進む。

◆中田璃士(なかた・りお)2008年9月8日、英国生まれ。元フィギュアスケート選手の父誠人さんと英国出身の母の間に生まれる。全日本ノービス選手権A(6月30日時点で満11~12歳)は20年から2連覇し、23年全日本ジュニア選手権2位。趣味はゲーム、野球観戦。千葉・船橋市立若松中3年。身長164センチ。

■島田麻央は全日本へ決意新た「納得のいく演技を」

○…島田麻央(15=木下アカデミー)が日本勢初の連覇を飾ったジュニアGPファイナルから一夜明けた9日、全日本選手権(12月21~24日、長野)へ気持ちを新たにした。8日は、ショートプログラム(SP)2位で迎えたフリーで、トリプルアクセル(3回転半)と大技4回転トーループを日本女子で初めて同時成功。「連覇もうれしいが、両方成功させた方がうれしさが大きかった」と笑顔で振り返った。

今月下旬には、昨年ジュニアながら3位に入った全日本を控える。この大会を制すれば、憧れの浅田真央さんが初Vを達成した時の16歳を上回る15歳での優勝となる。SPでの3回転半投入と2度目の大技同時成功を目標に掲げ「順位よりも、納得のいく演技ができるようにしたい」と見据えた。

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