日本大(日大)は15日、アメフト部で起きた薬物事件についての調査や再発防止策を検討した委員会の答申書(要約版)を公開した。

事件発生の背景や要因については、「留学生が、大麻を部内に持ち込んだと思う。そこから広がった」とのアメフト部コーチによる証言などが記載された。その留学生は18年にスポーツ推薦で入学し、22年3月末日付で「前期分授業料未納のため」除籍となったという。

アメフト部寮内での違法薬物使用は、その留学生の在学中に広がった可能性がある。仮にそうだった場合は、「本件事案が発生する数年前から問題が起きていたとも推測することができる」と指摘した。

問題発覚後の、大学本部の対応と問題点についても考察がなされた。林真理子理事長らが出席した記者会見などにおいて、これまで情報が錯綜(さくそう)するシーンも見受けられた。それらの要因については「情報集約の遅れが、理事長による広報対応や記者会見での混乱の大きな原因の1つであったと考えられる」。

7月に部員の部屋から不審な植物片が発見されたあと、警察への報告は12日後だった。事態が明らかになったあとに「空白の12日間」と非難され、文科省からも問題視されたこの時の対応については、「大麻であることがある程度疑われるものを発見したという状況下で、自白(自首)することについて、時間的な制約をかけなかったことは問題である」とした。

中野区にあるアメフト部の寮に家宅捜索が入ったこと、学生が逮捕されたことなど、いくつかの重要事項について監督から部長に直接情報が伝わっていなかったことも判明。部長の存在の形骸化など、組織対応や情報伝達に問題があったことも指摘された。

再発防止に向けて、違法薬物に関する研修体制の確立や、監督・指導体制の強化などが提言された。