前回王者・東福岡が桐蔭学園(神奈川)に競り負け、花園連覇を逃した。現3年生は中学3年時にコロナ禍が直撃。不完全燃焼のまま入学した最上級生は同校史上最多の計55人が集まった。背中で語るNO8高比良恭介主将(3年)が大所帯をけん引。集大成の冬は涙の準優勝も完全燃焼でやり遂げた。

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無情のノーサイドの笛が鳴った瞬間、東福岡・NO8高比良主将は花園の冬空を見上げた。「高校最後の試合が終わった…」。口元を震わせ、目には悔し涙を浮かべる。「ただ、ただ、悔しいのひと言」。周りを見れば控えメンバーも全員が目頭を押さえている。頂上決戦はたった3点差が明暗を分けた。互角勝負だっただけに「この敗戦があったから良かったと、今後は思えるようにしないといけない」。歓喜する桐蔭学園の光景を目に焼きつけ、フィールドを後にした。

5-8の後半29分。敵陣ゴール前まで攻め込むも、あと5メートルが届かない。1トライで逆転の場面だったが、相手の堅守に阻まれた。藤田監督は「日本一のFWだからね」と勝者をたたえた。高比良も「あそこで守り切れる桐蔭学園さんの強さ。完敗だった」。前回王者に言い訳はない。敗戦を潔く認めた。

現3年生は“ヒガシ史上最多”の55人が集結した。中学3年時にはコロナ禍に見舞われ、大会は軒並み中止になった世代。藤田監督は「来る者は拒まない」と“親心”のような気持ちで大所帯を歓迎した。高校で一花咲かせてやりたい-。その一心だった。結果は準優勝となったが、「最後にピークパフォーマンスを持ってきてくれた。チームの誇りですね」と選手たちをねぎらった。

懐の広い絶対的リーダーが高比良だった。仲間とは絶妙な距離を取る。多くは語らない。背中で引っ張るタイプ。BKリーダー利守はこう証言する。「誰よりも体を張ってる。試合を見れば分かりますけど、誰よりも痛いところに頭を入れている。控え選手も含め、僕たち全員が見ている」。練習前の準備、練習後の後片付けも率先して参加。誰からも信頼され、みんながついて行った。高比良は「ありがとうしかない」と声を震わせ、チームメートに感謝した。

現チームのスローガンは「彩」を掲げていた。「無地のキャンバスに1人1人の個性を彩る」ことを指針とした。最後の冬もチーム一丸で戦い抜き「1人1人が強みを出して、自分色を出して、グラウンドを彩れたと思う。やり切った」と胸を張った。真っ白だったキャンバスは、色鮮やかな唯一無二の絵に仕上がった。【佐藤究】

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