前回王者・東福岡が桐蔭学園(神奈川)に競り負け、花園連覇を逃した。現3年生は中学3年時にコロナ禍が直撃。不完全燃焼のまま入学した最上級生は同校史上最多の計55人が集まった。背中で語るNO8高比良恭介主将(3年)が大所帯をけん引。集大成の冬は涙の準優勝も完全燃焼でやり遂げた藤田雄一郎監督(51)はメモを習慣化させており、「藤田ノート」を公開した。文面からマメな指導者としての一端がにじむ。

    ◇    ◇    ◇

東福岡・藤田監督は指導者としてメモ力を磨いた。

「メモしておけば後からも見返せる。3度くらいおいしいやん」

将来を見据え、東福岡で14年間務めたコーチ時代に読書とメモを習慣化させた。「監督になったらこうしたいなと思ったのがきっかけ」。これまでに他競技のアマチュア監督、昨春WBCで世界一に導いた栗山英樹氏、京セラ創業者の稲盛和夫氏のビジネス本なども手に取った。ジャンルは多岐に及び「他競技の監督、成功者から学ぶことはたくさんある。マネジメント論とかすごく勉強になる」。共感した文面にはマーカーで線を引いた。キャンパスノートには達筆な字でメモとしてしたためた。

読書を通じ、知識は増える。成功者からの金言に、自らになかった感性が養われる。「当然、指導に生きますよね」と言う。

「常勝チームを作った 最強のリーダー学」は興味深い1冊だった。著者は元青森山田サッカー部で監督を務め、現J1町田の黒田剛監督(53)。組織の先頭に立つリーダーのいろはが凝縮されていた。藤田監督は「組織づくり、人を動かすところ。指導に対して1つ1つのこだわりがあって理論がある」と10ページにまたいで、メモがびっしり書かれていた。

<有能なリーダーと言われる人達の共通点>

・常に相手の気持ちを察して動く

・どんな問題でも迅速に解決するために率先して自ら動く

・あらゆる世界との交流を好み、幅広い人脈を持つ

・隙のない日常生活を意図して送っている

・現状に満足することなく、さらに発展できるチャンスを常に狙っている

・正義感や犠牲心を持ち、困っている人を見逃せない

・組織に対して常に「厳しさ」と「ユーモア」を提供できる

・タイミングよく聞き手に適切な言葉をかけて相手の感情をコントロールできる

黒田監督は一昨年に高体連監督から異例のプロ監督に転身。就任1年目でクラブをJ2リーグ優勝に導き、J1昇格と結果も残した。藤田監督は「黒田さんにはお花を3回贈ってる」。第100回大会の高校サッカー選手権優勝、町田監督就任、J1昇格と祝福の花を添えてきた。

21年に対談がきっかけで知り合った2人の名将。今では「普通の居酒屋でな」と年に数回は食事をする間柄にある。その他にも福岡大大濠バスケ部の片峰聡太監督(35)と一回り年下の指導者からも刺激を受ける。「若いのにすごいよね」。

心に刺さったフレーズは数え切れない。読書は毎朝10分ほど。月1冊ペースで読み終える。地道にメモとしてつづってきた“藤田ノート”は計15冊。「これは俺の宝物やね」と誇らしげだ。「西の横綱」と呼ばれる名門を率いる藤田監督は、とことん貪欲で、マメな男なのだ。【佐藤究】

【高校ラグビー】スコア速報はこちら