22年に現役復帰した織田信成(36=大阪・大阪スケート倶楽部)が成年男子SPに臨み、78・09点で3位発進となった。

冒頭の連続3回転トーループを皮切りに、トリプルアクセル(3回転半)、3回転ルッツに成功。首位の三宅星南まで5・05点差につけたが「最初に4回転、3回転を跳びたくて、苫小牧へ来ても調子が良かったのでいけるかなと思ったんですが、トーを突く時に緊張がグンと来て、力が入らなかった」と苦笑いを浮かべ、「今日はちょっとチキった。『いくぞ!』という気持ちが強すぎて、直前に弱きな顔が出た」と反省しきりだった。

織田は13-14年シーズン中に引退を発表したが、22年秋に現役復帰を発表。昨年1月の冬季国体では大阪府代表として出場し、201・46点で個人9位となった。

ただ、今秋に入り、国体出場時点で復帰届を出しておらず、23年7月29日付で提出したことが判明。引退したトップ選手が国内最高レベルの競技大会に出る場合は、6カ月前までにJADAなどに復帰届を出してドーピング検査の対象となる必要があるとの規定があるため、国体の成績は無効となった。

さらに23年西日本選手権1位(216・75点)の成績も無効となり、同年末の全日本選手権(長野)出場への道も絶たれていた。

この件に関して織田は「それは自分の責任だと思います」と受け止めつつ「クヨクヨしていても仕方ないので、ここに自分の全てをかけようと思ってやってきた」と今大会にかけた思いを明かした。昨年末に家族で沖縄旅行へ訪れた期間中も、琉球のリンクで練習。「美ら海水族館へ行く前に練習したり。(現地の方から)『頑張るね!』って言われました」と前向きに調整を続けてきた。

今大会にはおいの信義が少年男子で出場。同じ大阪代表として戦う。「親族一同で頑張りたいです。彼自身もジャンプで伸び悩んでいたりして、苦しい時期を知っているので、それを乗り越えて立てることがすごくうれしいです」。明るい表情で健闘を誓った。

◆国民スポーツ大会冬季大会 23年までは「国民体育大会」の名称で実施されてきたが、今年から「国民スポーツ大会」(略称「国スポ」)に改められた。これはスポーツの価値を世界の人々と分かち合い、スポーツを通じた社会変革に向け世界各国と協調していくことを理念とするため。