【上海(中国)=竹本穂乃加】ショートプログラム(SP)2位の「りくりゅう」こと三浦璃来(22)木原龍一(31)組(木下グループ)が、フリー125・16点の合計190・77点で2位となった。木原が腰椎分離症から復帰後、練習再開から約1カ月での出場となったが、最後まで滑り切って銀メダルを獲得。2連覇が懸かる世界選手権(3月、カナダ・モントリオール)への再出発となった。

音が止まると木原は、ほほ笑む三浦に笑いかけた。「俺、頑張ったよね?」「うん、頑張った!」。昨年9月のオータムクラシック以来となる実戦復帰で、納得の銀。けがなく演技を終え、ホッと息をついた。

完走だけで良かった。今季は、夏に木原を襲った腰椎分離症の影響でグランプリ(GP)シリーズ2戦と全日本選手権を欠場。長期離脱の中、今大会に照準を定めたのは昨年末だった。年明け2週目、ペアの練習を始める。フリーの曲かけ練習を最後まで通せたのは約1週間前だった。回数にして、わずか3回。それでも、帰ってきた2人の氷上の表情は晴れやかだった。

三浦は、SP後に届いた1通のLINEを思い返した。「けがが完治するまで待ってくれてありがとう。すごく感動したよ」。木原の母からの連絡だった。昨季は自身が左肩脱臼。今季は木原の復調を待っていた三浦は「龍一くんのお母さんのために笑顔で滑ろうと思ってました」。木原は「僕のためには滑らないんだ」と笑いつつ、また絆が強まる時間を過ごしていた。

V2が期待される世界選手権へ、現在地を知る機会となった。約4カ月ぶりの実戦は、スロー3回転ループで転倒するミスも出たが「悔しい思いの方が多かったけど、伸びしろがいっぱい」と木原。前を向けるのも、復帰したからこそだ。

ブランクはあれ、昨季のGPファイナル、4大陸選手権と世界選手権を制し、日本勢初の「年間グランドスラム」を達成した世界王者。「また一段階上のレベルへ戻っていかないといけない」と再起した木原が、支えてくれたパートナー三浦と再登頂へ歩き出した。