レギュラーラウンド(RR)2位のNECレッドロケッツが、皇后杯とリーグ制覇の2季連続2冠を達成し、Vプレミアリーグ以降8度目の頂点に立った。決勝で、24年ぶりのシーズン無敗での“完全優勝”を目指した同1位のJTマーヴェラスと対戦。3-1(27-25、32-30、16-25、25-17)で下し、RRの2戦では0-3、1-3で連敗を喫していた相手に雪辱を果たした。キャプテン小島満菜美(29)は「喜びを分かち合えたことがうれしい」と笑顔。エース古賀紗理那(27)は「今日はタフな試合になることは想定済み。そのタフなゲームで勝ち切れてうれしい」とかみしめた。

頂上対決にふさわしい大激戦となった。第1セット(S)は序盤に4連続失点で追いかける展開となったが、18-20からダニエル・ドルーズ(25)、アチャラポーン・コンヨット(28)のスパイクなど3連続得点で逆転に成功。ジュースにもつれたが、古賀の連続アタックで食らい付くと、最後は相手のミスを誘い、このセットを先取した。

第2Sもジュースの大接戦。6度のセットポイントを握られながらも、古賀を中心にアタッカー陣が集中力を切らさない。28-29からコンヨット、古賀が連続ポイントで逆転。最後は31-30から古賀がレフトから打ち抜き、セットカウントを連取した。

第3Sは取り返されたものの、第4Sは要所で古賀がバックアタックを決めて中盤に抜け出すと、山田二千華(24)が相手エース、ドルーズをブロックで止めるなどリズムを渡さない。最後はドルーズのスパイクで勝負を決めた。

小島、日本代表で主将を務める古賀、同代表の島村春世(31)ら経験豊富なメンバーが中心となり、結束力を高めてきた。チームとして大切にしていることは、1人1人の勝利への意識。試合後の選手間ミーティングでは、年齢や背番号の有無にかかわらず発言機会を設け、思ったことを伝え合う。外国人選手も同様で、チームの軸を担うオポジットのドルーズは、日本語を交えて積極的に声かけに参加。ルーキーセッターの中川つかさ(23)は「ダニからもすごくいい発言が出て、助けてもらっているなっていう部分も多くある」と話していた。

もちろん、なれ合いはない。スタメンとそれ以外に別れて行われる試合前の練習では、リザーブメンバーからは「Aチームを倒すつもりでこっちもしっかりやろう!」などと、いつも士気を高める声が上がる。練習でも、1つのミスがあると「今のはダメ」「そういうところから(悪い流れが)始まる」と自然と厳しい声が飛ぶなど、目的達成のために妥協はない。大学などの卒業を待たずにプレーできる内定選手として加入した佐藤淑乃(22=筑波大)は、「練習の中ではやっぱり雰囲気が悪い日だったり、疲労もたまってしんどい日もある。そういう時にも厳しいことを言い合えるのがすごい」と、チームに合流した際に目を丸くしていた。

1月14日、RRでJTに1-3で敗れた後、古賀は「コンビの精度がはまっていない。セッターのギャップに苦しめられた。私の欲しいトスを常に要求しながらやっていきたい」と厳しい口調で指摘した。そこから、約2カ月。コミュニケーションを取り合い、金子監督が「彼女にしかできない」と評する高速バックアタックなど、勝てる攻撃をセッターとともに作り上げてきた。「しっかりたたけるところに持ってきてくれるようになった。ピンポイントでしっかりたたくことを意識している」と古賀。ファイナルステージでも、そのバックアタックで勝利の道を切り開いた。

決勝前、金子隆行監督は「選手1人1人がフィジカルには相当な自信を持っている状態」と話した。その強力な個が大一番で結束を高め、RR1位のJTを撃破。2季連続2冠という全員の夢を結実させた。

NEC金子隆行監督(連覇を達成し)「選手たちの成長に感謝。この結果を自信にして、過信しないで次のタイトルに向かっていきたい」

NEC中川つかさ(セッターとして流れをつなぎ)「チームにエネルギーを与えるのが私の仕事。しっかりしようと思ってコートに入れた」

NEC山田二千花(7得点で連覇に貢献)「相手がすごいのはわかりきっていることだったので、それにとらわれず自分たちのバレーをどれだけするかが大事だと話していた。対JTに対してチーム力で勝てたのは、いい自信につながったと思う」

NEC塚田しおり(多彩なトスワークでけん引)「みんなが集中力を高く持って、1点1点に向かえたのが勝因。勝ち切れて本当によかった」

NEC小島満菜美(ベストリベロ賞を獲得)「競った場面がすごく多かったが、堪えて勝ち切れた。賞は私個人の賞ではなくチームとして評価された」