56年ぶりの3連覇に挑む坂本花織(23=シスメックス)は日本勢トップの73・29点をマークも、4位でSPを終えた。首位発進のルナ・ヘンドリックス(ベルギー)とは3・69点差。リンクサイドへ引き揚げる際には、中野園子コーチへ「いやいや…」と苦笑いで語りかけた。

「一言で言えば、練習通りかなって感じがします」

冒頭のダブルアクセル(2回転半)は決めたが、続く3回転ルッツで着氷が乱れた。3本目のフリップ-トーループの連続3回転ジャンプは成功させ、SP曲「コウノドリ」を演じ切ったものの、演技後は思わず右手で頭をかいた。「ルッツがダメだとフリップはいけて、フリップがいけないとルッツはいいという感じがあって。それがもろに出た感じです」と振り返った。

前日の滑走順抽せんでは最終滑走に。恐れていた順番に、直後は「ありえない…」としょんぼりとする姿もあった。だが、その約5時間後の練習では自分を鼓舞するような活力ある動きを見せて「頑張るしかない!」と盛り返すと、一夜明けた試合当日の午前練習後には「頑張れそう!」と拳を下から突き上げるガッツポーズも披露。強い気持ちで大トリでの滑りに向かっていった。

ただ、フリーでは24人中21番目での滑走となる。最終滑走は回避となり「6分間からすぐになる。待っている間の緊張感が増すことなくできると思う」とポジティブに捉えた。

3連覇を最後に達成したのは、1968年のペギー・フレミング(米国)までさかのぼる。22年北京五輪で銅メダルをつかみ、直後の世界選手権で悲願の世界女王となり、23年もその座を守り抜いた。今季は国際大会で全勝。今大会へもSP、振り付けを手直ししてきたフリーともに完成度を高めてきた。「全部頑張れている。中野コーチから『頑張る方向だけ間違えたらあかん』と言われるほど」。積み重ねてきた自信を発揮する場だった。

フリーは22日(同23日)に行われる。